書道展の受賞者インタビューに答える奥容疑者(今年7月14日、毎日新聞朝刊の茨城県版より)
書道展の受賞者インタビューに答える奥容疑者(今年7月14日、毎日新聞朝刊の茨城県版より)
【写真】隻腕の書道達人・奥光真容疑者、書道展で受賞した作品、事件現場のエスカレーターなど

 今年7月、毎日新聞社などが主催する国内最大規模の公募展『毎日書道展』で部門別最優秀に該当する毎日賞を受賞。

 毎日新聞のインタビュー取材を受け、

《純粋にうれしい。(中略)今後もスキルを磨けば部活動の指導や授業にも還元できる。また受賞できるように頑張りたい》

 と決意をあらたにしたばかりだった。勤務先の在校生らによると、受賞を自慢することはなかったという。

「やさしい先生。生徒の話をちゃんと聞いて相談に乗ってくれるし、絶対に怒らない。怒鳴り声を聞いたことなんて一度もない。騒いでも怒らないし、少しは怒ったほうがいいんじゃないかと思うほどだった」(男子生徒)

 別の男子生徒が付け加える。

「左腕がなくても教員免許を取るなんてすごいなと僕は尊敬していました。いつも物静かで、自分からハンデを乗り越えた苦労話などはしない先生です」

「おくちゃん」と呼ばれ親しまれていた

 前出のインタビュー記事などによると、生まれつき左の上腕がない。書道教室に通い始めたのは小学生のころ。野球少年だったが高校進学時に書道部を選び、“書の甲子園”といわれる『国際高校生選抜書展』で入選。教師になってからも毎年のようにさまざまな書道展に応募し、入選するなど結果を出してきた。

 学校では白い半袖シャツに黒っぽいズボン姿。一部生徒のあいだでは「おくちゃん」と呼ばれ親しまれていたという。

 怒らないことで生徒にナメられたり、学級崩壊を招くようなことはなかったか。

「昨年担任をしていたクラスはうまくまとめていたと思います。テストの成績が悪くてもうるさく言わず、“もうちょっと頑張ってね”と寛大なんです。昼休みに校内をよく歩き回っていて、“あっ、奥先生だ”などとポツリと言うと、無視せずに“おう”と返事してくれる。僕は好きな先生でしたね」(別の男子生徒)

 複数の在校生によると、生徒と一緒になってはしゃぐことは皆無で、女子生徒にことさら絡むような場面も見たことがないという。