「逮捕は信じられません。事件の数週間前、学校独自のカリキュラムで裁判をテーマに学ぶ授業があり、奥先生は授業の最後に“みんなも裁判沙汰に巻き込まれないように。警察のお世話にはならないでね”と話していたんです。そう言ってた先生自身が捕まっちゃったね、と友達と話しました」(女子生徒)
独身で実家暮らし。最近の様子などを聞くため自宅を訪ねると、インターホン越しに母親はこう答えた。
「現時点では記者さんにお話しできることは何もありません。報じられている事実関係が正確か否かも含めわからないのでお引き取りください。……取材にお見えになったのはご苦労さまです」
丁寧で落ち着いた口調だった。近所の女性は「事件には驚いています。ふだんはまじめな方ですよ」とひと言。地元の男性は振り返る。
元大リーグの隻腕投手アボットみたい
「小学生のころは地元の有名な少年野球チームでキャプテンでした。高校野球の県予選で始球式を務めたこともあり、ノーバウンドでストライクを投じて観客は拍手喝采だった。元大リーグの隻腕投手アボットみたいに左脇に抱えたグローブを、投げた直後に右手にはめ守備の構えをする。物怖じしないし、格好よかったんだから」
勤務校は事件後、全校生徒を体育館に集めて校長が事情説明。生徒によると「学校を代表してお詫びします」と頭を下げたという。
とはいえ、高校教師が他校の女子高生を盗撮したわけだから校内で被害がないか気にかかる。校内で隠しカメラが見つかったり、女子生徒から奥容疑者にかかわる相談事例はなかったか。
「ご指摘のような不審事案はありません。事件後に全校生徒を対象にアンケート調査を実施し、スクールカウンセリングも行っています。奥先生は特段の問題はなく、生徒への接し方などもおかしなところは見当たりませんでした」(同校の教頭)
越えてはいけない一線を何が越えさせたのか。信頼を裏切った生徒たちに対して何を思うのだろうか。