セクハラを考えるときに、一つの判断材料となるのが「全く同じ行動を異性が取ったら、どう感じるかを予想すること」だと思うのです。例えば、2のホルモン発言を男女逆にして考えてみると、50代の男性アナウンサーが、20代の女性アスリートを見て「残り少ないホルモンが出てきた、若返った」と言ったら、どう思うでしょうか。おそらく、炎上必至でしょう。3の場合、男性MCに促されて女性出演者が立ち上がり、それが下着ではなく短パン姿だったとしても、やっぱりセクハラっぽい。なぜこんな簡単なことがわからないかというと、ユミコにとって、セクハラは武器だったからだと思うのです。
東京進出したユミコが頭角を現してきた2000年代は、フジテレビ・高島彩アナウンサーや中野美奈子アナウンサーに代表されるように、見た目もスタイルもよい、有名大学出身の楚々とした女子アナが人気でした。そんな中、ユミコはモテないとか結婚できないなど、自虐で注目を集めていきます。女性に上から物を言いたいオジサンにとっては、自虐する女性は「キミのそういうところが悪いんだ」と説教できるため、プライドの高そうなアナウンサーよりも「愛い奴」だったかもしれませんし、キラキラ界のトップ、女子アナを何となくいけすかない存在だと思っていた女性層は、そのぶっちゃけ加減を「サバサバした人、飾らない人」と好意的にとらえたのでしょう。
ユミコは国民的元祖サバサバ女子
女子アナという恵まれた人の高級自虐は珍しく、視聴者の嫉妬を回避するという意味で、有効だったのではないでしょうか。多くの日本人にとって、ユミコは国民的元祖サバサバ女子と言えるでしょう。
が、当方ひねくれ者。ユミコのうまさ、強かさに半月板が損傷する寸前まで膝を打つのでした。一般論で言うならば、自虐する人に「そうだね」という人はおらず、むしろ優しく接してくれるでしょう。そもそも、本当に自分に自信がない人は当時のキラキラの殿堂・テレビ局なんて受けないと思うので、自虐を本気にしたら「あの人に〇〇って言われた」とこちらが恨まれそう。自虐は必ずしも本心ではなく、プライドの高さの裏返しのように思えたのでした。
実際、ユミコは自虐のおいしさに自覚はあったようです。