冒頭の住民もこう話す。
「ご近所に別々に挨拶回りにきてくれてね。千鶴容疑者は“主人は飲食店で働いていたから、料理が得意なんです。今度、家で鍋をやりますから、ぜひ食べにきてください”って。結局、実現はしなかったけど」
千鶴容疑者は植物が大好きで、玄関先にはたくさんの鉢植えがあった。
「私に鉢植えのひとつを分けてくれた。そんな心遣いのできる、とても優しい人なんですよ」(同・住民、以下同)
気の弱い千鶴容疑者が起こした大胆な犯罪
一方で、千鶴容疑者は近所トラブルを抱えていたとも。容疑者夫婦が暮らす一軒家は住宅密集地に建っており、しかも道路から入った袋小路で、
「お互いさまで、夏はクーラーの室外機の音がうるさいんですが、近隣住民のひとりが千鶴さん宅を目の敵にして“室外機の音がうるさい!”と書いたビラを何度もポストに投函したり、玄関ドアにまで貼ったりしていました。千鶴さんは言い返すこともできず、悩んでいた。あるとき、ぽつりと“引っ越ししようかな”なんて弱音を吐いていましたから」
そんな気弱な千鶴容疑者がなぜ“架空の妹”になりすましたのだろうか。
「年齢が若いほうが、就業や賃貸住宅の契約には有利でしょう」
そう話すのは、労働・雇用に詳しい弁護士だ。