市販の下痢止めはのまないほうがいい
インフルエンザや新型コロナウイルスのようなワクチンがないノロウイルス。だからこそ、自分の身は自分で守るしかない。
「まず知っておいてほしいのは、アルコール消毒が効きにくいということ。新型コロナの流行でアルコール消毒を習慣にする人が増えましたが、ノロウイルスにはほとんど効果がありません。手についたウイルスの除去は、石けんと流水での手洗いが有効です」
トイレや帰宅のあと、調理や食事の前には必ず行おう。洗ったあとに使うタオルもこまめに替えて清潔なものを。
もし、家族が感染した場合は、感染を広げないため、トイレや触った部分の消毒と嘔吐物の処理に細心の注意を払うことが大切だ。
「感染者が触った物を消毒するときは、ノロウイルスの不活性化に有効な次亜塩素酸ナトリウムを使用します。家庭用の塩素系漂白剤を薄めた消毒液で、代用ができます」
家庭用の塩素系漂白剤には次亜塩素酸ナトリウムが少量含まれている。また、可能であれば感染者とトイレや部屋を共有しないほうが、他の人への感染リスクを下げられる。
「感染者がやってはいけないことは、市販の下痢止めを服用することです。便に含まれたノロウイルスが腸内にとどまってしまい、症状が悪化します。ウイルスが腸内から排出されることで症状が良くなるので、トイレは我慢しないこと。
脱水症予防のためにも水分を多くとるようにしてください。感染がわかった時点で、市販の経口補水液を用意しておくと安心です」
症状が軽ければ病院に行く必要はないが、嘔吐や下痢が激しい場合は早めに受診を。
そして、何よりも日頃からウイルスを寄せつけない健康体を保つことも欠かせない。
「疲労の蓄積、睡眠不足やストレスの多い生活は、免疫を下げて感染症に罹るリスクを高めます。自己防衛のためにも忙しいからと睡眠時間を削ったりせず、体調優先で過ごすことをおすすめします」