飛鳥明子も、幼い子を置いて病死
実在のモデル飛鳥明子は、松竹座の座付き楽団のギタリストだった片野実雄と熱烈な恋に落ちて25歳で結婚するも、幸せは4年しか続かなった。当時は“不治の病”と怖れられた結核にむしばまれ、昭和12年8月15日、29歳の若さでこの世を去ったのだ。葬儀の際に飾られた写真には、親族に抱かれた幼い女の子が写っていたという。のちに、そのひとり娘が回想している。
「その写真は生後8か月の私です。母は結核だったので感染しない配慮から、母に抱かれている写真は一枚もありません。生前の母の思い出がない分、しのぶ気持ちは人一倍強くて……」(松本茂章著、『大阪人』連載「OSKストーリー80年の夢」より)
長女を出産したとき、母恋しさから母の名と同じ「明子」と名付けたという。きっと、今回の朝ドラで描かれた蒼井優演じる母の姿を、目を細めて見たに違いない。
このあとドラマはいよいよ、主人公スズ子のモデルである笠置シヅ子が歌でスターの階段をのぼっていく東京へと舞台を移す。今後の展開が楽しみだ。
参考文献◎松本茂章著、大阪市都市工学情報センター『大阪人』連載「OSKストーリー 80年の夢」第7回~第9回(2003年12月~2004年2月)