6位の広瀬すずと9位の橋本環奈に関しては、本人のキャラ的にはあざといとは真逆に思えるが、どうして“あざとい女”と思われるのか?
実力派女優のランクインは嫉妬?
「彼女たちもあざとい役柄を演じたときの技術の確かさが理由のひとつだと思いますが、それに加えて、美しさ、人気、実力とすべてを兼ね備えている点への嫉妬もあるのでしょう。せめて裏の顔があってほしいという(笑)。
ただ、このランキングに入っている女優さんはみな、内面は男前。そうじゃなきゃトップ女優にはなれない。その強さが巷の女子たちをざわつかせるんでしょうね」(カトリーヌさん)
そんな彼女たちに比べると女性アナ組で唯一ランクインした7位の元テレビ東京の森香澄は、あざとさという点では先輩の田中みな実や弘中綾香にはまだ及ばないそう。
「テレ東時代はあざとさを前面に出すことで注目されましたが、フリーになってあざと界の猛者たちと横並びになるとパンチがない。今、『たとえあなたを忘れても』(テレビ朝日系)でお芝居にも挑戦されていますが、女優さんたちの中に入るとあまり印象に残らないんですよね。やはり田中みな実さんはすごかったんだなと(笑)」
’80年代、松田聖子をシンボルとするぶりっ子から始まったあざと女子の系譜は、その後、おバカ女子、天然キャラ、小悪魔など形を変えながら、世の男性たちを虜にしていく。
なかでも’00年代からタレント化が顕著になった女性アナは、フジテレビのアヤパン(高島彩)やカトパン(加藤綾子)、TBSの小林麻耶など次々とあざと女子を輩出し、“女性アナという職業自体があざとい女がやるもの”という偏見に満ちたイメージを持たれるまでになる。
「それを変えたのは“あざとくて何が悪いの?”と突き抜けた田中さんと弘中さん。本来、隠すべきことだった“あざとさ”を堂々と披露していく。そこはトップ女優の潔さにも通じますよね。
美に対してストイックという彼女たちの方向性は、女性の反感ではなく共感を呼びます。これが最新型のあざと可愛いで、ここでの“あざとい”は悪口ではなくもう褒め言葉です」(カトリーヌさん)
むしろ、ぶりっ子的な意味合いの“あざと可愛い”は男子へと移行しているのでは、とカトリーヌさん。
「伊野尾慧さんは田中みな実さんに『あざとさの化身』と評されていましたし、なにわ男子はグループのコンセプトが『あざと可愛い』ですから。
元来、男子ウケする若い女子のための言葉だった“あざとい”は、美しく元気な30代女子のものとなり、純粋な意味での“あざと可愛い”は男子のものに。次にランキングを作るときは男子も含めたほうが面白くなるのではと思います(笑)」
取材・文/蒔田陽平
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など