「まだ俳優として始まったばかりなので生意気なことは言えないのですが、いただいたオファーには“自分が出たい”という気持ち以上に、“自分自身がこの作品を通じて、何を伝えられるか”に魂を込めています」
「父(窪塚洋介)のような仕事をいつかはするんだろうな」
10月から始まった『あたりのキッチン!』。コミュニケーション能力ゼロだけど、味覚には人並み外れた能力を持つ大学生・辺清美(桜田ひより)が自分を変えるべくバイトを始めたのは定食屋“阿吽”。営む中江善次郎(渡部篤郎)の息子・清正を演じているのは、窪塚愛流。
「清正は母親を亡くし、父親との関係がギクシャクしていて。たぶん“絶対こう言われるだろうから、言わないでおこう”がいくつも重なっていた状況に、バイトとして来た清美が父親と、食べる人を気遣うやさしい料理を作り上げていく。
その中で、父親との関係も雪解けしていきます。清正はごく普通の高校生で、キャラクターとして際立った特徴がない分、演じるのはすごく難しいです。今までやったことのない、目線の動きなどを意識した細かいお芝居に挑戦しています」
清正はどちらかというと食べる側だが、料理はするほう?
「実はひとり暮らしをして、ちょうど1年がたちました。最初はフードデリバリーや外食ばかりで、1か月の食費が2人分くらいになってしまって(笑)。それに頼ってばかりでもダメだなと思い、自立を兼ねて自炊を始めました。
まずは簡単な料理から始めようと思い、作ったのが豚バラ肉できのこを巻いて、片栗粉をつけて、甘辛く焼いたもの。本当においしかったので“自分でも料理はできるんだ”という自信になりました」
最近作ったのは鶏むね肉のトマトソテー、から揚げ、そしてアップルパイ。
「今は料理をすることが楽しくて仕方がないです。お米も自分が食べたいだけ炊けるし。ごはんのお供も、キムチや納豆など好きに選べるし。やっぱり食べ盛りなので(笑)」
高校3年生の清正は、今後の進路にも悩む。窪塚が俳優の道を選ぶ際、悩んだりはしなかったのだろうか?
「きらびやかな芸能界への憧れはずっとありました。父(窪塚洋介)のような仕事をいつかはするんだろうな、と勝手に思っていたところはあります。夢は決まっていたけど、今やるのか、まだやらないのかというときには悩みました」
小学生のときにスカウトされたこともあるが、デビューは映画『泣き虫しょったんの奇跡』('18年)。中学生のときだった。しかし、その後は芸能活動は特にせず。
「ちゃんと高校にも入れたということで、友達と遊んでばかりいましたね(笑)。ただ、その高校はスポーツ推薦で入って高みを目指す子や芸能活動をする子もたくさんいて。
周りは頑張っているのに、自分はこれでいいのか? グツグツといろんなものが自分の中で燃え始めて。“いつかやるだろう”が“今からやる”になったのが高校3年のときでした」