長尾さんがオール・カントリーをすすめる理由は3つ。

・先進国、新興国を中心とした複数国に分散投資しているのでリスクが低い。

・世界全体のGDPはここ60年ずっと伸び続けているため、今後も必然的に全世界式市場が右肩上がりとなる可能性が高い。

・信託報酬が安い。

 このうち信託報酬とは、投資信託を管理・運用するために支払わなければならない経費で、保有額のおよそ0.5~2.5%であることがほとんど。当然低いほどコスパがよく、オール・カントリーは0.05775%に設定されている。

 投資初心者では売買手数料とともに、信託報酬の負担をできるだけ抑えることが基本だ。

すぐに売却せず長期展望を持って運用を

 ちなみにこのオール・カントリーは、3年で約19.7%(10月末時点)のプラスの利回りとなっている。つまり、3年前に100万円分投資していたとしたら、現在はおよそ119万円になっている計算だ。

 しかしここ半年だけで見ると、約4.19%のマイナスに。ウクライナや中東情勢などが影響していると思われるが、いくら低リスクとはいえ、投資に「絶対」はないということは新NISAも同様。

「NISAの基本は、“長期・積立・分散”の3つです。つまり、長い期間で毎月少しずつ資産を積み立てていき、さらに投資を分散することでリスクに備えます。数か月、数年間のあいだに、上がった下がったと一喜一憂しないことが大事です」

資金が減ったからといって一喜一憂せず、長い目で見るのが大事 ※写真はイメージです
資金が減ったからといって一喜一憂せず、長い目で見るのが大事 ※写真はイメージです
【写真】「新NISA」と「現行NISA」、劇的に変わった内容を比較

 とはいえ、せっかく積み立てた資金がマイナスになっては気が気でないことも確か。

「金融庁では、2014年にNISA制度がスタートしてから定期的に利用者の調査を行っています。それによると、制度開始当初は、約2割の方が1年程度で投資をやめてしまっているんです。つまり短期のマイナスに耐え切れず、せっかく投資した分を売ってしまっているんですね。

 確かに、リーマン・ショックや新型コロナなどで、これまでも一時的に株価が急落したことはありました。それでも長期的なスパンで見れば、ゆるやかに右肩上がりになっていることを理解しておきましょう」