適切な治療でつらい期間を短縮できる
長く痛みが続くイメージの五十肩だが、早く正確な診断を受け、適切な治療を受ければ短期間で苦痛から解放される。
凍結肩では特に理学療法士による運動療法が大切。治療効果があまり出なければ手術になるが、最近では手術しないで治す“サイレント・マニピュレーション”という治療法が注目されている。
「肩を支配する神経に麻酔をして、かたくなった関節を動かし癒着を取り除く治療です。手術と違って入院する必要がないため患者負担が少なく、数日以内に痛みを軽減できます。特に眠れないほど痛い人への効果は劇的です」
腱板断裂は、力仕事をする50~60代の男性に多いといわれているが、力仕事をしない女性にも生じるため注意が必要だ。
「手を大きく動かすための土台が肩関節です。土台を安定させるのが腱板の役割。腱板が断裂すれば、土台が不安定になって痛みが生じ、腕が上がらなくなる人もいます。
あまり活動しない高齢者や、残った腱板で肩関節を安定させられる人は肩の痛みが消えることもありますが、痛みが続いたり、繰り返したりする人には手術が必要です」
さらに五十肩と間違われやすい病気が肩ではなく首の神経障害だ。
「肩が痛いからといって肩が悪いとは限りません。首の中の脊髄から肩に延びる神経が障害されても肩に痛みが生じます。そういった肩の痛みは50〜60代に多く、7割が変形性脊椎症、2割が椎間板ヘルニアによる神経障害が原因です。
超音波ガイド下神経ブロックという治療で痛みを取り去ることができます。しかし、放置すると激痛で夜も眠れない痛みに襲われることがありますので、まずは整形外科を受診してください」
決して甘く見てはいけない、五十肩。もしかしてと思ったら、放置せずに病院へ行くことが重要だ。その際には、病院選びにも気をつけたい。
「注意してほしいのは、レントゲン検査だけで診断する病院です。エコー診断とエコーを使って治療をしているかどうか、ホームページや電話で確認してみることをおすすめします」
五十肩に潜む地獄とは…
・5年たっても治らず、不眠が続いてうつ状態に……
・違う病気なのに誤診されて適切な治療受けられず……
・時代遅れの医者のせいでひたすら痛みを我慢……
・効果のない痛み止めの薬漬けで、依存症に……
(取材・文/井上真規子)