『高校生レストラン』の卒業生が従業員に
飲食店の経営者たちに人気なのは『孤独のグルメ』(2012年〜・テレビ東京系)。シリーズは10作品、大みそかスペシャルも恒例となり、すっかり国民的ドラマとして定着した。
フードサービスアドバイザーの武田あかねさんは、「お休みの日は、食通の知人たちと一緒にお店ツアーをしている」ほど、同作のファン。
「作中に登場するのは、ちょっと入りにくいようなお店ばかり。でもそのお店ならではのおいしさがしっかり伝わってくる構成が素晴らしいです。五郎さんがお店について語るシーンを見ていると、人に好かれるお店とはどんなものなのか?と考えさせられます」(武田さん)
「実際にある路地裏の名店を、主人公の五郎さんが毎回独自の視点で分析するのが面白い。食事のシーンはシズル感ある映像に仕上がっていて、本当においしそう。こういうお店が愛されるんだよな、と思わせてくれます」(久保木さん)
レストラン経営をリアルに描いた作品として、『グランメゾン東京』(2019年・TBS系)の名前も挙がった。木村拓哉演じるカリスマシェフが、ミシュラン三つ星を目指すストーリーだ。
マクロビレストランを展開する「株式会社CHAYAマクロビフーズ」代表取締役の小川博行さんは、「レストラン業界の良いアピールになったと感じました」と語る。
「人集めに始まり、お店づくりや料理開発など、どのエピソードも現場で実際に行われていることです。普段見せないお店の裏側をリアルに描いていました」(小川さん)
日本料理店「銀座稲葉」のオーナー兼料理長・稲葉正信さんは、最終回が印象的だったと振り返る。
「最終回のミシュラン授賞式のシーンでは、実際の受賞者が登場していて思わず見入ってしまいました。料理のジャンルが違っても、ストーリーに共感する部分は多く、心に響くものがあります。
自分も若いときはああいうふうに夢を見て頑張っていたことを思い出しました」(稲葉さん)
また、稲葉さんは思い入れのある作品として『高校生レストラン』(2011年・日本テレビ系)も挙げた。松岡昌宏が主演を務めた同作は、三重県に実在する高校生が運営するレストランが舞台だ。
「モデルになった高校の教師と親交があり、リアルタイムで裏事情も聞けたのが面白かったですね。実は今、私の店ではこの高校の卒業生が3人働いています。なんとなく縁を感じてしまう作品です」