「蜷川さんがいなかったら」
確かな演技力で、作品ごとに強い印象を残す彼は、現在放送中の『王様戦隊キングオージャー』で、ヒール役を演じている。
「自分には遠い存在だと思っていたので、戦隊モノのオーディションを受けたことがなかったんです。それなのに、30歳になってからオファーをいただけた。取材のときによくインタビュアーの方から“驚きました”と言われましたが、自分でも驚いたし、うれしかったです」
放送を見ている子どもやお母さんたちから声をかけられるのでは?
「それが、まったくないんですよ。お子さんや、お母さんたちがいる場所にいないからなのかな……。キングオージャーを代表して(埼玉西武ライオンズ対福岡ソフトバンクホークス戦の)始球式をやらせていただいたのですが、“ラクレス!”と役名を叫んでくださったのは、大人の男性でした(笑)」
30代となったいま、いろいろなことに挑戦していきたいと語る。彼にとっての新たな挑戦のひとつ『車軸』が「大事にしたい人、感謝したい人を思い、人生を大切に生きるきっかけになれば」と語る矢野に、まっさきに頭に浮かぶ感謝したい人は誰かと聞くと、
「蜷川さんですかね。蜷川さんがいなかったら、僕、この仕事をやっていないと思うので。蜷川さんが亡くなって以来、舞台に立っていないので、もう10年ほど離れていると思います。そろそろ舞台をやりたいな、やらなくちゃな、と思っています」
映画『車軸』(TOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開中)
配給:CHIPANGU/エレファントハウス (C)「車軸」製作委員会 (C)小佐野彈