一連の混乱の発端となっているのが、劇団員の相次ぐ体調不良であることは間違いない。
「コロナ禍前の'18年と比べて、今年はよりタイトなスケジュールで公演が組まれています。それによって過労による体調不良を訴える生徒が増えたのではないでしょうか」
そう分析するのは全国紙文化部で舞台を担当する記者。
“マイナス分を一気に回収したい”
「今年4月、星組は全国ツアーのため5つの都市を回っていました。全国ツアーは物販の売れ行きが良く、高い利益を上げられるそう。ですがその分、移動を伴いますし、会場ごとにリハーサルを行わなければなりませんから、固定の会場で公演を行うよりも生徒に負担がかかってしまいます。それにもかかわらず公演日程はかなりハードで。ツアーの千秋楽が4月11日で、その後の宝塚大劇場での公演『1789』が始まったのが6月2日ですから、次の公演までの猶予は約50日しかありませんでした。対して'18年の星組は、愛知県の中日劇場での公演を終えてから次の宝塚大劇場での初日を迎えるまで2か月以上の期間が設けられていたので、ある程度の時間的余裕はあったのです」(舞台担当記者、以下同)
今年になって公演スケジュールが過密になったのには明確な理由があるという。
「新型コロナウイルスの影響で、宝塚は'20年の上半期、ほぼすべての公演を休演しています。その後も“3密対策”のため、観客数を通常の半分にして公演を再開しましたが、売り上げにおいて大打撃を受けています。コロナが感染症法上の5類に移行され、対策が緩和された今年“今までのマイナス分を一気に回収したい”という思いがあるのでしょう。
さらに、来年は宝塚歌劇団発足から110年という節目の年にあたります。それに向けて勢いを取り戻したいとの焦りもあったのではないでしょうか」
“清く、正しく、美しく”がモットーの宝塚だが、舞台裏はそうはいかないようだ。