今年はSnowManの渡辺翔太らが出演した舞台『DREAMBOYS』を略した“ドリボ”など男性アイドルからも多くの用語が誕生
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【写真】「オタク」文化を広めバラエティーでも活躍したレジェンド

『オタク用語辞典 大限界』の中には、多数のゲーム用語も登場する。業界用語ではないが、中にいる人にしかわからない言葉も多い。昔であれば、こうした言葉は接点のない“界隈の外”に出ていくことはなかった。だが、

知らないオタク言葉と接したとき、学生たちは『聞いたことがない』ではなく、『見たことがない』と話します。SNSの影響によって、言葉が外に広がりやすくなったのではないか」 

 と小出先生が分析するように、交流の手段はフェイス・トゥ・フェイス以外に多岐にわたるようになった。スマートフォンやボイスチャットなど、オタク用語が流出するシーンは、はるかに増えた。

これまでうまく表せなかった感情や概念を言語化

 なんでも小出先生によれば、日本語は過去にも、言葉を伝える媒体の影響で変化したケースがあるそうだ。

「古くは“漢字”が入ってきたことで、言葉の記録が可能になりました。また、漢字が崩され、平仮名が生まれたのは、“筆”の使用と無関係ではないでしょう。“パソコン”が普及すると、顔文字が生まれました。現代のSNSが言葉にどのような影響を与えるのか、観察していきたいです

 オタク用語を口にする際、学生たちは「自発的」になる─。その点を、小出先生とともに『オタク用語辞典 大限界』を手がけたゼミ生のひとりに尋ねると、「昨今のオタク言葉は、自分発信として使う言葉が多いと思う」とうなずく。

先ほどの“現場”もそうですが、自分が最大限楽しむために、その言葉を使っている感じです。オタク用語の中には、オタクの笑い声として“デュフフ”“ニチャア”“コポォ”などがあるのですが、すべてニュアンスが違うんです。『今の笑い方は、“デュフフ”だよね』ではないですが、自分の感覚をもっとも表現できる言葉を使いたい」(ゼミ生)

 だからこそ、新しい言葉も生まれやすくなるわけだが、「これまでうまく表せなかった感情や概念を言語化してしまうことも、オタク用語の見事な点」と小出先生も一目置く。

「例えば、客観的な視点からストーリー展開を先読みする用語に“メタ読み”という言葉があります。自らを客観的に把握することを“メタ認知”といいますが、この言葉とストーリーを“読む”を掛け合わせている。ドラマを見ている人なら、俳優の顔触れなどから、犯人を予想したことがあると思うのですが、“メタ読み”という用語は、そうした行為を的確に表現している」(小出先生)