ここでの彼女は、気の強さにますます磨きがかかった印象。アイドル時代の自分がAKB48の選抜総選挙に出たら「絶対に1位になれると思う」とか、テレビを見ながら「ほら! この人、整形してる!」などと言っているときがいちばん楽しいといった話をしていた。それを「聞き流してくれる」のがこの男性だったわけだ。

 若いころは生意気だと叩かれ、最初の所属事務所からの独立騒動で仕事を干されても、しぶとく生き残ってきた彼女は、この男性に似た者同士的な、あるいは相棒みたいな意識を抱いていたのかもしれない。それゆえ、自分と同じようにトラブルはあっても、まさか法を犯すことはないはずという感覚だったのではないか。

自身がトラブルメーカーに

 しかし、トラブルの質というか、レベルが違った。逮捕となると、彼女の仕事にも影響が出かねない。それもあっての離婚だったのだろう。

 その本での南野陽子評に、筆者はこう書いていた。

他の同世代アイドルの多くが『ヨゴレ』的な仕事をしながら『劣化』をカムフラージュしているなか、アイドルとしての現役感はかなり健在といえる

 実際、インタビューした編集者も40代後半とは思えない美貌に感心していたものだ。が、仕事どころか、実生活に「ヨゴレ」がつくハメに。とばっちりとはいえ、彼女までトラブルメーカーみたいなイメージになった感が否めない。

 ちなみに、彼女は今『仮面ライダーガッチャード』(テレビ朝日系)に主人公の母親役で出演中。年末年始には、映画版も公開される。

 スケバン刑事から仮面ライダーの母へ、というのはなかなか順調なキャリアの重ね方だったわけだが、今回の件でこういう役のオファーは当分なさそうだ。

宝泉薫(ほうせん・かおる) アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。