DV疑惑の根拠となる写真が残されている。

「あるライブの前、美月さんから“眼帯をして出演してもいいか”という連絡が来たんです。理由を聞いたら“転んで顔をぶつけてしまった”と言う。写真を送ってもらったが、どうも転んでつけた傷に見えない。後でS社長から彼女に対し、日常的なDVがあったと知りました」

 それだけでなく、金銭的にも搾取されていたという。

9年間ノーギャラ

「美月さんがメンバーとして参加していたアイドルグループ内で、彼女の人気は1番か2番。明るくて元気なキャラで、グラビア活動と並行していました。美月さんのギャラは、事務所を通して払っていましたが、後で彼女はもらっていなかったと知りました

 美月さんと同じ事務所に所属していた元アイドルのB子さんも、同様の証言をした。

美月さんは、9年間の芸能活動で、ずっとノーギャラだったと思います。私も事務所と契約の際に家賃補助の話がありましたが、実際はもらえなかった。給料も最初の1年だけ。以降はいっさいなし。グラビア撮影会や舞台など、事務所からの仕事でギャラはもらえませんでした」

 S氏の不誠実さを示す証言は、まだある。かつて美月さんと同じ事務所に所属して、今はフリーで活動する現役アイドルのC子さんも、給料は支払われなかったと話す。

毎年の夏に大規模なグラビアの撮影会があって、その場で販売されるグッズの売り上げの20%は、タレント本人に入る話だったのに、それも支払われなかった。この撮影会イベントだけで、美月さんには、100万円以上の未払いがあったと思います

 美月さんが所属したアイドルグループの関係者は、彼女が精神的に追い詰められていたと語る。

アイドルグループの一員としても芸能活動をしていた片瀬美月さん。メンバーカラーは赤
アイドルグループの一員としても芸能活動をしていた片瀬美月さん。メンバーカラーは赤
【写真】「転んだ傷には見えない」目のまわりに青黒いアザが残る片瀬さんの証拠画像

ライブのないときは週5日で塾講師のバイトをして、なんとか生活をしているようでした。そんな生活と将来に不安を抱えていたのか、彼女は定期的に精神科の病院に通っており、'22年7月には意識を失い入院したことがあります。その際、S社長に連絡をしたのですが、返信はなく、何のケアもされてなさそうでした」

 美月さんは、アイドルになる前は楽しい日々を送っていた。それがS社長に出会ってから、すべてを狂わされたと訴えるのが、出身地の奈良に住む美月さんの母親だ。

「周囲に遠慮して、気を使う子だったので、もう少し積極的になってほしいと思い、小学2年生のときに大阪の芸能事務所に入れました。地元のCMに出たりしていましたが、勉強時間が取れなくなったので、芸能活動はいったんやめて、小学生時代に入った学習塾では飛び級して上級生クラスに。中学校に進むとバスケ部でキャプテンを務めました」(美月さんの母親、以下同)

 高校2年のとき、芸能活動を再開。そこで母親が美月さんから紹介されたのがS氏だったという。