一度始まると、なかなか終わらせてもらえなかった。

「5日間寝ないで打ったことも」

「仕事が落ち着いて、時間ができると、すぐに麻雀に誘われましたね。打ち始めると彼が勝つまで終わらないんです。ひどいときは5日間寝ないで打ったこともありました。あるとき、一緒に打っていた人が一晩たったところで“そろそろやめましょうか”と言ったら“そんなにやめたいなら最初から打つな!”と激怒したことも(笑)。私には怒らないので、ムツさんが勝ってきた、ちょうどいいタイミングでやめるのが私の役割でした」(灘さん、以下同)

 ムツゴロウさんの自宅で雀卓を囲んだことも……。

『雀魔王戦』というタイトルがあって、過酷な場所で人間の限界に挑戦するという企画。北海道のムツさんの家まで行き、3日間くらい寝ずに、体重や血圧をはかりながら麻雀を打ちました。これがかなり大変で、まず家に入って歩こうとすると、犬が邪魔をしてくる。スタートしても気の強いシャム猫に引っかかれ、窓を開けたら虫が入ってきて口の中に飛び込んできたり。ムツさんは大丈夫でしたけど、こちらは苦労しました。かなりのハンディを背負って打っていましたね」

灘さん(右から2人目)と麻雀を打つ畑正憲さんはかなりの腕前(日本プロ麻雀連盟HPより)
灘さん(右から2人目)と麻雀を打つ畑正憲さんはかなりの腕前(日本プロ麻雀連盟HPより)
【写真】麻雀の強さが群を抜いていた頃のムツゴロウさん、トロフィーを手に満面の笑み

 灘さんは麻雀とムツゴロウさんについてこう話す。

「とにかく麻雀が好きだった。生きがいだったと思いますね。私もムツさんがいれば今ごろ一緒に麻雀を打って、楽しい時間を過ごしているのに、と思うこともあります」

 天国でも動物たちに囲まれながら、楽しく雀卓を囲んでいるだろう。