発売から60年。その間、「危機らしい危機はなかったのですか?」と質問すると、「売り上げが大きく落ち込んだことがありました」と塩崎さんは明かす。
「実は、『かっぱえびせん』は時代に合わせて、その時々で好まれる食感にリニューアルしています。昨年の5月にも、リニューアルを行い、少しだけ食感を変えました」
パッケージリニューアルで危機に
何でも、食感が変わったことに気がついたか否かのアンケートを取ったところ、2~3割ほどしか気がつかないほど、絶妙なリニューアルだったという。
「2007年にもリニューアルを行ったのですが、そのときは思い切って、赤のパッケージから白を基調としたパッケージへと、大胆に変更しました」
事前の調査では、白のパッケージへの反応は良かったそうだ。ところが、実際に店頭に並ぶと、
「“かっぱえびせん』らしくない”“お店に行っても見つからない”といったご意見を多数いただき、売り上げも大きく落ち込んでしまいました。再びパッケージを戻し、以後、リニューアルしても赤のパッケージは絶対に変えない─教訓になりました(笑)」
裏を返せば、『かっぱえびせん』のイメージは、それほどまでに浸透しているということ。親しまれる理由を、塩崎さんはこう分析する。
「『かっぱえびせん』の大きな魅力は、2つあると思っています。1つが食感。もう1つが、えびを丸ごと(殻ごと)練り込むことによって生まれる風味、うまみです」
そのため塩崎さんは、「白ご飯の上に『かっぱえびせん』(レギュラー味)をのせ、天つゆをかけて食べるとおいしいです」とおすすめする。トライしてみると、えびのかき揚げ丼を食べている気になるから不思議!
また、おみそ汁に入れると、えびのうまみがしみ出すため、アクセントにもなるとのこと。スナック菓子なのに、風味やうまみをちょい足しする食材としても活用できるとは恐るべし。
これまで登場したフレーバーの数は約200種類。フレンチサラダ味や梅味など、定番化した人気フレーバーも生み出した。だが、あくまでもこだわりは、「えびにあります」と話す。
「一度、廃棄されてしまう甘えびの頭の部分だけを使った試作品を作ったことがありました。味そのものはおいしかったのですが、天然のえびを丸ごと使用するというコンセプトからズレてしまうということで、商品化には至りませんでした」