後輩芸能人から慕われ、妻からも愛される存在
冠さんといえば、面倒見のよいことでも知られた。
「豪快な性格ながら、威張ったりすることがなく、芸能人にも一般の人にも態度を変えることがなかった。
冠さんの演歌は『炎』を始めとしてノリがいいから、今でも大衆演劇の舞踊ショーの曲によく使われています。本人も『じゃんじゃん使って』と、喜んでいました。
後輩の芸能人たちにとても慕われており、冠さんを囲む会は『かんむり会』と呼ばれていた。メンバーは、純烈をはじめとした冠さんにとっての“若手”や、女性アナウンサーなど、多岐にわたる面々がいたといいます。その存在に冠さんも『うれしいね、ありがたいね』と、とても誇りに思っていましたね」(前出・芸能プロダクション社長)
また、妻の味菜子さんとは親子ほどの年の差があったものの、そのおしどり夫婦ぶりも有名だった。
「実は味菜子さんとは、彼女が6、7歳のころに一度会っていたそうです。味菜子さんが大人になってから知人の紹介で再会。冠さんはまったく覚えていなかったそうですが、味菜子さんは冠さんのことを鮮明に覚えていたそうです」(前出・芸能プロダクション社長)
仲の良さが高じて、2020年にはデュエット曲『あなたは男でしょう』を発表する。
「買い物へ行くにもいつも一緒でしたし、地方公演にもペアの湯のみ茶碗を持参して使用するなど、本当に仲が良かった。『女房は、俺が死んだら私も死ぬ、なんて言ってくれたんだよ』とノロけていましたね」(前出・芸能プロダクション社長)
演歌界の「アニキ」は、星となった今も、仲間や家族を見つめてくれていることだろう。
(取材・文/木原みぎわ)