王室ファミリーの話はやはり好物!

 谷本さんによれば、日本の福祉は世界でも類を見ないほど公平かつ、充実しているという。「欧米をうらやむ必要はない」と断言するだけでなく、むしろ、「狙われていることに危機感を持ったほうがいい」と忠告する。

「現在、ヨーロッパ諸国は次々と反移民政策に舵を切っています。行き先を失った彼らが、日本に職を求めて渡航し、特定技能外国人となる未来が訪れると思います。そのとき何が起きるか? ヨーロッパは先行事例です。私がいま説明したことを、反面教師にしなければいけません」

 まさに、“何も知らない”ではすまされない!

 では逆に、日本のニュースが、意外な形で世界に受け取られているパターンはあるのだろうか? 谷本さんは、「日本の皇室の話は、中国では人気ですね」と笑う。

「先日も中国人の友人から『最近、雅子さまの体調は大丈夫なの?』と聞かれたくらいです。王室(皇族)の話は、どの国も共通して好きな話題。特に、イギリスのロイヤルファミリーの話は鉄板です。しかもみんな、メーガン妃を嫌っている(笑)」

 日本でも、メーガン妃に拒否反応を示す人は多いはず。ようやく、海外と日本との間に温度差がない真実を見つけた!

「イギリス国民からすると、英国王室はいわば『代々続いている大地主』という感覚なんです。日本の皇室ほど国民から崇められているわけではない。あくまで、親しみのある大金持ちという見方です。

 その大金持ち一家が、不倫をしたりよくわからない人物と結婚をしたり怪しい事業や投資に手を出したりするため、王室ウォッチャー化している国民が自身の見解を毎日あーだこーだ言っている……、というのが実情です。ヘンリー王子メーガン妃は、その最たる例」

 日本同様、イギリスでも朝からワイドショーや情報番組が放送されており、メーガン妃の話題はいつもトップニュース扱いだそう。朝からお騒がせ有名人たちのスキャンダルに釘づけになっている……その気持ち、わかります。

「こういった“しょーもない話”も、もっと伝えたいんです(笑)。ですが、それ以上にもっと知ってほしい“日本では報じられない重要なニュース”が実はとても多いんですね。ひとつの情報を鵜呑みにしないことが大事です」

「無知は罪である」とはソクラテスの言葉。知ろうとする姿勢を忘れないように!

『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)、『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)など著書多数。※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

『世界のニュースを日本人は何も知らない(5) なんでもありの時代に暴れまわる人々』(税込み1210円 ワニブックス【PLUS】新書刊)世界はそんなことになってたのか! 日本のメディアが報道しない驚きのニュースが満載。累計43万部突破の大人気シリーズ第5弾

谷本真由美さん
谷本真由美さん
谷本真由美(たにもと・まゆみ)●1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)、『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)など著書多数。

取材・文/我妻弘崇