年を重ねれば老いるのは避けられないが、近年、“老化のメカニズム”がわかってきた。そのひとつは「酸化」。
体内に取り入れた酸素の一部が活性酸素に変化し、肌荒れや慢性疲労など身体にさまざまな害を与えるため、“身体のサビ”といわれている。
老化の最大の原因は「糖化」
そして今、酸化より悪い影響を与えると注目されているのが、“身体のコゲ”といわれる「糖化」だ。
30年以上、糖化の研究に携わってきた牧田善二先生に、糖化とは何かを聞いた。
「糖化とは、タンパク質がブドウ糖と結び付く反応のことをいいます。問題なのは、糖化したタンパク質から悪玉物質が作られること。
その名もAGE、日本語では『終末糖化産物』という物質で、体内のあらゆるタンパク質を攻撃し、その機能を低下させる働きがあります。一度生まれたAGEは、再びタンパク質とブドウ糖に分解されることは決してありません。
悪玉物質の最終形態として体内にたまり、しみ、しわ、たるみなど見た目の老いを招くばかりか、健康をも害し、身体全体の老化をもたらすのです」(牧田先生、以下同)
紫外線の肌ダメージ、黒幕はAGE
牧田先生によると、しみ、しわなどの肌の老化にAGEが影響していることを示す、ある実験結果があるという。
「紫外線対策として日焼け止めは欠かさないという人も多いと思います。実は、鼻の上や頬など日常的に露出している部分のAGE量は、乳房などの常に衣類などで覆われている皮膚のAGE量よりも、10倍程度も多いという結果が出ています。
紫外線の肌への害に、AGEが関係している証拠といえるでしょう」
AGEの色は茶褐色。老化によるしみや肌のくすみは、ずばりAGEの色なのだ。タンパク質の糖化によりAGEが茶褐色に色づくことを“メイラード反応”と呼ぶが、ステーキや唐揚げなどのこんがりとした焼き色もまた、AGEが大量に作られている証しだという。