南海トラフ地震で大阪万博が中止に!?

 首都直下地震と並んで懸念される南海トラフ地震は、プレートが跳ね上がることで発生する海溝型の地震だ。気象庁は、南海トラフ地震と能登半島地震との「関連はない」としているが──。

「能登半島地震が直接的に影響するわけではありません。しかし、今回の地震により、南海トラフ地震の発生に向けて確実に次の段階に進んだといえます」

 とは、前出の高橋教授。一体、どういうことなのか。

「能登半島地震で太平洋プレートが北米プレートを押して、それにより北米プレートが東から西へ動きました。その結果、フィリピン海プレートの下で噴火が相次ぐなど、火山活動が活発になっています。

 フィリピン海プレートが太平洋プレートに押され、ひずみが生じ、ユーラシアプレートが跳ね上がる。そうして起きるのが南海トラフ地震です。

 しかも、ほかのプレートまで一気に動かし、広範囲に連動して巨大地震を起こす可能性がある。それを私は『スーパー南海地震』と呼んでいます」(高橋教授、以下同)

 スーパー南海地震の被害は首都圏から沖縄にまで及び、東日本大震災をはるかにしのぐおそれがあるという。

「スーパー南海地震が起きると、日本列島はM9クラスの激震に揺さぶられることになります。国は“最悪のシナリオ”で死者数32万人と想定していますが、甘いと言わざるをえない。

 私の試算では、少なくとも津波だけで50万人が命を落とします。この50万人という数字は、海に面した場所で暮らす住民の1%が亡くなった想定で試算した、いわば最低ラインです」

 政府が1月15日に発表した想定では、南海トラフ地震の発生確率は「10年以内に30%、20年以内に60%、30年以内に70~80%」としている。

「その日が近づいていることは間違いありません。私は、'25年の大阪万博の開催は難しいのではないかと思っています。それまでに激震に見舞われるおそれが高い」