自分で見つけやすい【皮膚がん】
続いては皮膚がん。その中でも顔にできやすい基底細胞がんというタイプは、ほぼ死なないがんといっていいと大阪医科薬科大学の森脇真一先生が教えてくれた。
「皮膚がんの中で一番多いのが基底細胞がんですが、死亡率は0.1%以下です。私はこれまで1000人近くの患者さんを診てきましたが、亡くなった患者さんはひとりもいません」(森脇先生、以下同)
基底細胞がんは転移せず、適切な治療を受ければ再発することも少ない。
「しかも顔にできやすいので、本人が見つけやすいという利点もあります。進行するスピードが遅いのに発見が早いのが、生存率の高さの要因だといえます」
手術でがんを切除しても、高齢者が多いせいもあってしわがちょっと増えたかな程度で、傷もあまり目立たないというから、恐れる必要のないがんのように思えるが、注意点がある。
「皮膚がんの中にはメラノーマという非常に悪性度が高く治りにくいがんがあるのですが、基底細胞がんもメラノーマも、どちらもほくろやしみのようなものが皮膚にできます。
進行が遅い基底細胞がんだろうと自己判断して放置すると取り返しのつかないことになる場合があるので、今までなかったほくろやしみを見つけたらよく観察してください」
本当のほくろやしみの場合、大きさや形が変わることはほとんどないが、がんの場合は徐々に育つ。少しずつ大きくなっていく場合はがんの可能性があるという。
「そういったほくろやしみを見つけたら、早めに医療機関を受診してください。基底細胞がんは丸い斑点状になることが多いのに対し、メラノーマは形がいびつになりますが、いずれにせよ、適切な治療が必要なので、徐々に大きくなる場合は迷わず皮膚科専門医へ」
ただし、ホームページや看板に「皮膚科」と書いてあっても皮膚科専門医でない場合もあるので要注意。
「内科や外科の医師が皮膚科を掲げている場合もあります。見分けるコツは診療科の順番。内科や外科が専門の医師の場合は『内科・皮膚科』や『外科・皮膚科』といったように皮膚科を2番目以降に書いているはずです。
『皮膚科』や『皮膚科・アレルギー科』など、最初に皮膚科を掲げている医療機関に行けば、皮膚科専門医の可能性が高いです。がんかどうかをすぐに調べてくれるはずなので、気になる症状がある人はぜひ行ってください」