全国に先駆けて喫煙所設置を積極的に推進する千代田区
先述のように大阪市では東京23区の喫煙所設置補助事業を参考にしており、実際に渋谷区、新宿区、大田区などで行われている。
中でも一歩踏み込んだ取り組みをしているのが千代田区だ。行政運営の指針を示した『ちよだみらいプロジェクト 第3次基本計画2015』によると、喫煙者と非喫煙者の共生を図ることを目的として「公衆喫煙所設置助成事業」を行い、令和6年度までに喫煙所設置数の目標100か所と宣言している。助成事業は新規の設置経費については700万円を上限に、5年経過後の更新経費として300万円を上限に助成金を出すだけでなく、賃料または賃料相当額の10割と諸経費の8割を合わせて年間264万円を上限に補助。これにより、民間の店舗などを改修し、喫煙所にする例も増えてきているのだ。
実際にこの助成事業を活用し、店舗の一部に喫煙所を設置した千代田区のある自営業者は、テレビ局の取材に「メリットは金銭的なものが一番。民間に貸すには厳しいスペースの大きさだし、なかなか貸しづらいけど、喫煙所にすると店の半分のスペースの家賃をもらえる」と語っており、店の経営も黒字化しているという。
現状の喫煙所の設置数について千代田区 地域振興部 安全生活課 安全生活係に聞いた。
「令和5年12月末現在、公衆喫煙所数は84か所です(千代田区の喫煙所マップ)。内訳は、区の助成事業を活用して設置された民間の喫煙所数が78か所、公営の喫煙所数が6か所です。令和6年までに100件という目標の進捗状況については、昨年の令和4年度が純増7件(新規設置13件、閉鎖6件)、今年度はこれまで8件設置しており、設置数は年々増えている状況です」(千代田区担当者)
千代田区はおよそ10年で100か所を目指しているが、大阪市は2年で120か所となると、かなりの急ピッチでの整備が求められる。現状、大阪市では千代田区のような家賃補助について検討しているのだろうか。
「面積要件の緩和は議論を進めていく予定ですが、賃料補助については課題と認識しているものの、歳出が多額となる点も踏まえて慎重に検討していく必要があると考えています」(大阪市担当者)