裁判には相応の時間が

『週刊女性』2022年4月26日号は、俳優の木下ほうかに強制性交された被害を訴える女性の告白を報じている。女性の告白は、実に生々しかった。『文春』でも性加害が報じられており、続けざまに記事が出たことで、当然だが仕事がキャンセルになるなど窮地に立たされた木下は、『週刊女性』の発行元である『主婦と生活社』を相手取り、550万円の損害賠償などを求める民事訴訟を起こしたのだった。

 しかし、木下は2023年の6月に訴えを取り下げた。理由は定かではないが、上記のうちのどれかだろう。訴訟を取り下げたことで、木下はマイナスイメージがより強くなった。上述のとおり、世間の反応は「やっぱりね」となってしまう。

「法的措置!」と声を上げものの、その後、何の動きも見られなかった例としては、「闇営業騒動」の際、反社会的勢力の会合に参加し“ギャラ飲み”と報じられた宮迫博之や、写真誌に同じく“反社”の人間と一緒にいる写真を掲載された加護亜依が記憶に新しい。宮迫は結局、訴えることを止め、加護はその後何の動きもない。

新潮社で自著をPRする爆笑問題・太田光(2010年)
新潮社で自著をPRする爆笑問題・太田光(2010年)
【写真】週刊誌を相手に4年かけて裁判を闘い抜いていた“大物芸人”を直撃

 週刊誌を相手に訴訟を起こして注目を集めた裁判といえば、『爆笑問題』太田光VS『週刊新潮』だ。「太田の父親が800万円を渡して、太田を日本大学に裏口入学させた」という2018年8月の報道に対し、太田側が約3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟は、一審判決で発行元の新潮社に440万円の支払いと、ウェブ上の記事削除を命じた。2022年12月24日に行われた知財高裁の第二審では、一審判決を支持し、判決が確定した。

 太田の裁判では、判決が確定するまで4年の歳月を要した。松本に関しては、文春側に対して5億5000万円の損害賠償と訂正記事の掲載を求める訴訟を提起したことが、1月22日に吉本から発表されたが、こちらも相応の時間がかかることが予想される。

『文春』2024年2月1日号では、松本による性加害を実名・顔出しで告発する女性まで現れた。止まることのない文春側の“攻勢”も含めて、この一件は過去に例のないほど注目度の高い裁判となるだろうーー。