被害者周辺に詳しい地元サービス業の元社長(67)は「西元さんは深夜や早朝、いきなり他人宅に乗り込むトラブルを何度か起こしているんです」と前置きして語る。
「50代男性Aさんを“舎弟にした”と公言し、Aさんと金銭のやり取りがあった複数の地元住民に接触してきました。私もそのひとりなんです。昨年11月、Aさんの携帯を使って、面識のなかった西元さんが突然電話してきて“Aはオレの舎弟にしたから今後いっさい近づくな”と言うんです。暴力団の名前を出して最高顧問を名乗りました。本当かどうか確認しようがありませんが」(元社長)
元社長によると、後輩にあたるAさんに3万円貸して毎月1000円ずつなど少額返済を受け残高1万数千円になったときに電話がかかってきた。金額の問題ではなく、そのやり方と一方的な言い分が不快だったという。
「頼まれて貸した金を返してもらっているだけなのに、西元さんは“おまえAから金せびっとるらしいな”と言いがかりをつけるんです。まったく話が通じず、もう面倒臭くなりましたが、西元さんが“一度会おうや”というので“いいですよ”と了承しました。ところが、西元さんはいっこうに会う日時と場所を決めようとしない。最初から会うつもりなどなかったのでしょう」(元社長)
被害者は自称“暴力団”、言いがかりをつけて…
西元さんとは何者なのか。
いぶかしむ元社長のもとに、複数の知人から西元さん絡みのトラブル相談が寄せられた。生活保護受給者や生活困窮者らに似たような言いがかりをつけ、さらに深夜や早朝を狙って自宅のインターホンを押して乗り込もうとするなど、より悪質な迷惑行為を繰り返していることがわかったという。
刺殺事件の約1週間前にあたる1月17日深夜、西元さんによるアポなし自宅訪問を受けた60代男性はこう振り返る。
「西元さんはオートロック式集合住宅のエントランスのインターホンを鳴らし、顔を近づけて睨みつけるような目つきで“おい、おい”と恫喝するんです。何をされるかわからず、乗り込まれたくなかったので警察に通報しました。私はAさんに5000円を貸していました。インフルエンザの予防接種代を貸してほしいというので応じましたが、西元さんはその返済をめぐって“Aを恐喝しているだろ”と言ってきました」(同男性)
西元さんが訪問してきた際のインターホンの録画映像を確認させてもらうと、エントランスの消火器を持ち上げるなど威嚇ともとれる行為があった。黒いハットに黒い皮コートを羽織りマフィアのようないでたち。酒に酔っているのか足元がおぼつかず、壁にぶつかるシーンもあった。
この男性は、生活保護を受けており、限られた金額で生活をやりくりする中で「困ったときはお互いさま」と金を貸したという。