家族が一致団結して取り組むのも大切
最後に、中村先生の心に残る、幸せな最期を迎えた患者と家族の話を聞いた。
「患者さんはがんを患っていた80代の高齢女性でした。がんが発覚し、残された時間が長くないとわかってから家族で旅行を楽しみ、最終的には自宅で最期を過ごすことを希望されました。家で介護を担ったのはご家族とお孫さんです。
50代の長女が指揮をとり、シフト表を作ってローテーションを組み、患者さんを代わるがわる見守る。申し送りノートをつけるなど体制も万全。一致団結してミッションのごとく取り組んだわけです。
そして、みんなに寄り添ってもらい、患者さんは安らかに最期を迎えられました。見送ったご家族、お孫さんらも清々しい顔をされ、やり切ったという感じでしたね」
親の幸せな最期は家族にかかっている部分が大きい。これを機会に一度考えてみてはいかがだろうか。
お話を伺ったのは……中村明澄先生●向日葵クリニック院長。 在宅医療専門医・緩和医療専門医・家庭医療専門医。2000年、東京女子医科大学卒業。近著に『在宅医が伝えたい「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)がある。
取材・文/百瀬康司