「人殺し!」「お前が死ね!」誹謗中傷の電話
「寝返りをうてるようになった子どもさんの中には、仰向けではなかなか寝ることができない子がいます。そういう子はうつ伏せに寝かせていると言ったのです」
とはいえ、事故は起きてしまった。
「せっかく信頼して預けられたのに、それを裏切る形になってしまって、本当に申し訳ありません」
この報道後、同園には「人殺し!」「お前が死ね!」などのような誹謗中傷の電話があったという。一方で、
「元認可外保育所で勤務していた方から、“私も同じような劣悪な環境で働いていたから、大変なのはわかります。めげずに頑張ってください”という応援の電話もありました。言い訳に聞こえるかもしれませんが、認可外保育所は自治体などの助成金も年間12万円ほどです」
スタッフの補充もままならないという。
「うちには正社員が1人もいません。その日、預かる子どもの数が多ければ、パートスタッフを手配してなんとかやりくりしていました。経営状況はカツカツで……これはうちに限ったことではないと思いますが」
東京都福祉保健局によると、東京23区の待機児童数は2018年に3352人だったが、2023年は12人と大幅に減少。世田谷区も“待機児童ゼロ”とされているが……。ある保育園関係者はこう話す。
「この数字にはトリックがあって、申し込んだ認可に入れなくて認可外に無理やり入った児童は“待機児童”にカウントされていないんです。事件が起きた世田谷区は認可に入る競争が厳しく、親も必死で探して認可外でもいいから預けている。
もちろん、子どもの安全が一番にあってこそなんですが……でも働けなければ生きていけないのも現実です」
被害男児を失った家族の悲しみは計り知れない。悲劇が二度と起こらないためにも、行政は真の“待機児童ゼロ”を目指してほしい。警察が業務上過失致死の容疑で園長を逮捕するかどうかはまだ未定だ。