隣に被害が……と不安をあおる
ここからは訪問型。相談件数が5年で約3倍と増えているのが「屋根工事の点検商法」に関するトラブルだ。
「点検商法とは、『近所で行う工事の挨拶に来た』などと言って業者が突然訪問。『お宅の屋根瓦がずれているので点検してあげる』と話し、無料点検した後、『このままだと瓦が落下し近所に迷惑がかかる』などと不安をあおって高額な工事の契約をさせる手口です」(藤田さん)
背景には、自然災害の深刻化による防災意識の高まりがあると考えられる。特に台風や大雨などが多発する時期を狙って訪問。点検を“無料”とすることで警戒心を解き、心理的なハードルを下げる。
「屋根の写真を見せ、『浮いているところがあった。工事の見積もりだけでもどうか』と言われて依頼し、30万円程度の契約をしてしまった被害がありました。
また、屋根だけでなく、壁などそれ以外の箇所の工事も勧誘され950万円の契約をしてしまった人も。屋根の上は住人自身では確認しづらいですし、傷んでいるかどうかは専門家でなければわからないという弱みをついています。
契約後、別のハウスメーカーに検査を依頼したら、後から釘を抜いたような新しい傷があった、などの声もあり、工事の必要性が疑われるケースも少なくないでしょう」(伊藤弁護士)
突然訪問した業者には安易に点検させないことが第一。屋根工事の勧誘に対してはすぐに契約はせず、複数社から見積もりをとるなど十分に検討しなければならない。
「契約した後でも打つ手は残されています。契約書の交付日を含め8日以内ならクーリング・オフなどができる場合があります」(藤田さん)