自分に合った方法で生活に取り入れて

 ただし、医師としてダイエット目的での“梅流し”はすすめられないそう。

「これだけを食べるような食生活では栄養バランスが悪く、体調を崩す原因になりますし、便のモトになる食物繊維も十分とはいえません」

 また、SNSでは「宿便が出る」という話もあるが、解剖をした場合でも宿便が見つかったことはないそうだ。

「食事をしなくても便が出るのは、古くなった腸の粘膜などがあるせいです。大腸には便が1~2kg程度あるのが普通で、その水分が少しずつ吸収され、固まって排出される。それを無理に出すことに意味はありません」

 なお持病のある人が“梅流し”を続ける場合は、材料の選び方に注意が必要だ。

「最近の梅干しにはさまざまな種類があり、塩分だけでなく糖分が多いものも。健康な人ならそこまで気にする必要はありませんが、塩分が多いものは血圧が高めの人は避けるべき。また、はちみつなどで甘くした梅干しは、糖尿病の方にはおすすめできないので、よく吟味して購入してください」

 昆布のだしを使っているので、甲状腺機能低下症がある場合は昆布に含まれるヨードをとりすぎて、甲状腺の機能低下が進むおそれがある。

「継続して食べても問題はないのか、事前に担当医に相談を。その上で、とる回数を減らしたり、かつおなど別のだしなどにかえたほうがいいでしょう」

梅流しの効果を高める3大ポイント

一般的に、空腹時にとると効果的な梅流し。便秘がつらいとき、続けるために理想的な方法を教えてもらった。

・塩分少なめ、かつ甘みのない梅干しを選ぶ
・だしをとった昆布も水溶性食物繊維なので食べる
・朝食などの1食に置き換え、その後、運動で腸を刺激する

「弛緩性便秘」とは?

大腸の蠕動運動が低下し、腸の中に便がたまること。日本人に多いタイプの便秘で、食物繊維や水分の不足、腹筋力の低下が原因で起きる。主に高齢者や若い女性に多い。

教えてくれたのは伊藤大介先生
医師。一之江駅前ひまわり医院院長。内科と皮膚科を中心に、便秘診療や生活習慣病も含めて多くの患者の治療にあたっており、「かかりつけ医」として高い信頼を得ている。

<取材・文/宇野美貴子>