教員の負担を軽減するには
これからも卒業文集を廃止する学校が増えていくのでは、と田中さんは言う。
「本来、卒業文集はあったほうがいいと思います。やっぱり読み返して友達同士で話題にもなりますし。
しかし、今のように苦情が来ないように完璧なものを作ること自体が、すごく時間がかかり負担にもなっています。6年生の担任を希望する教師が少ないということにもつながってしまっています」
ほかにも学校行事の時間短縮といった生徒たちの思い出を減らす以外に、教員の負担を軽くすることはできないのだろうか。
「今は掃除や給食も教員がやっていますが、教員は授業だけに専念できるようにすればだいぶ違うと思います。
気持ち的な負担でいえば、教育的価値が高いものに対して先生のやりたいようにできるかどうかが大きいのでは。日本は一律教育ですが、ヨーロッパのように教員の自主性を重んじたほうがいいと思います」
卒業文集がなくなるのは寂しい気もするが、完璧を求められ、膨大な時間と労力がかかる現状が変わらなければ、過去の懐かしい文化になってしまうのも、そう遠くないかもしれない。