「不適切すぎる」壮絶ドラマも
『昼顔』は映画版も作られ、そこで2人の恋は成就するものの斎藤演じる高校教師は事故死してしまう。不倫の恋は叶った途端、相手が亡くなるというのも定番となっているんだそう。
「トップ10のうち半分の5作品で不倫相手の男性が亡くなっています。そういう意味で壮絶だったのは9位の'97年に日本テレビ系で放送された『失楽園』。古谷一行さんと川島なお美さんが不倫カップルで、最後はセックスの最中に毒をあおり、身体がつながったまま心中する。
しかも、ラストは死の淵の中の幻想シーンで、全裸の古谷さんと川島さんが草原を歩き去っていくという(笑)。楽園からの追放を象徴してるんですけど、見てるこっちはキョトンですよ。バストトップもあらわな濡れ場も多く、不適切すぎて二度と見られない'90年代らしい不倫ドラマです」
昔の不倫ドラマといえば愛欲を満たす激しい作品が多かったが、時代性を反映してか、最近は精神的な欠落部分を満たす純愛系の不倫ドラマのほうが多くなっている。一方、ドロドロ系はというと、相手を好きすぎるあまり精神が病んでしまう“ヤンデレ女”の台頭が目立つとカトリーヌさん。
「昨年放送された『単身花日』の新木優子さんや『泥濘の食卓』の齋藤京子さんがその代表で、不倫ドラマというよりもサイコサスペンスに近いかな。
自己肯定感が低い“メンヘラ女子”が世の中に増えてきた結果なんでしょうけど、純愛系とは真逆の不健康な、恋愛依存系の作品も増えている。まぁ時代の変化とともに形は変われど不倫ドラマはこれからも作られ続けると思います。視聴者はみんな、“不適切”なものが大好きですから(笑)」
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など
取材・文/蒔田陽平