'17年に森さんが作詞して氷川きよしが歌ったテレビアニメ『ドラゴンボール超』の『限界突破×サバイバー』も大ヒット。演歌のイメージを覆す氷川の転換点に。
若いアーティストから刺激を受ける
「主題歌を誰に歌ってもらうかとなったとき、氷川君はこぶしを回さなくても歌えるらしいと噂で聞いて。『CHA-LA HEAD-CHA-LA』を試しに歌ってみてほしいと、デモテープを録って送ってくれないかと頼んだんです。
それが本当にカッコよくて、氷川君にお願いすることに。レコーディングで“間奏にシャウトしてみようか”と提案したら、艶のあるいい声が出まくりで驚きました。氷川君も“いろいろ言ってください!”とノリノリで。アドバイスを受けて、なんでも歌ってみようという気力にあふれていましたね」
そんな森さんは、今も新作のアニソンを数多く手がけるが、若いアーティストにも刺激を受けているそう。
「最近では、Aimerさんの『残響散歌』(『鬼滅の刃』遊郭編主題歌)が、タイトルや主人公の名前が曲内に一切出てこないのに、詩的な表現で作品世界を見事に描いていて、素晴らしかったですね」
詩人としても活動し、今年1月に自選詩集『感情の配線』(開発社)を上梓した。
「僕はある意味“言葉”という楽器を奏でるアーティスト。先生や巨匠といわれる存在になるより、アーティストでいることが大事だと思う」
その情熱は、衰えることを知らない。
取材・文/小新井知子
1954年東京都出身。作詞家、詩人、戯曲家。1976年に作詞作曲家としてデビュー以来、ポップス、アニメソング、ロックなど幅広いジャンルで数々のヒット曲を生み出す。近年は舞台・ミュージカルの分野でも活躍。