告知当日、大学病院に入院。コロナ禍の折で面会は許されず、家族には「驚かせて悪いけど」とグループLINEで病名を知らせた。
出演中の『リコカツ』は降板し、平田満に代役を託す。ドラマの放映中ということもあり、公には多発性骨髄腫ではなく、腎機能障害と発表している。
「クレアチニンの数値が異常に高かったので、腎機能障害というのも嘘ではないんです。ただ発表はその段階にとどめましょうということにして。業界ではよくあることです(笑)」
一番つらかったのは「敗血症」
まずはがん治療に耐えうる状態にすべく、腎機能の治療をスタート。治療は順調に進むも、免疫の低下により敗血症を併発する。40度近くの高熱に2週間あまり悩まされた。
「敗血症が一番しんどかったですね。熱だけならまだしも、痛みが非常につらかった。筋膜の痙攣(けいれん)だろうということでしたけど、もう大腿(だいたい)骨に針を刺すような痛みがあって。
抗生剤がなかなか効かず、4種類くらい薬を試しては替えての繰り返し。最終的に飲み薬は効かなくなってしまって、点滴に切り替えています」
解熱剤はもって3〜4時間。熱と痛みに苦しみつつ、同時にリハビリに励んだという。
「ずっと寝ているとあっという間に筋肉が落ちてしまうので、スクワットやストレッチを朝昼晩していました。リハビリの先生が週に2回指導に来てくださって、あとは与えられたカリキュラムをひたすらまじめにこなすようにして」
2か月間の入院治療を経て、一時退院。まだ治療の過程だったが、このときドラマに出演している。長い入院生活で、体力が激減した中での撮影だ。
「シリーズもので、あらかじめ決まっていた作品だったので、迷惑はかけられない。そのときはまだ数値的にも免疫力が低くて、がん細胞もゼロではないので、飲み薬を飲みながらの撮影でした。
息切れはするし、ヘロヘロの状態ではありましたけど、いざ現場に入るともうそういうことは忘れちゃうんですよね」
共演者はじめスタッフには正式な病名を伝えた。現場で何かあってはいけないとの周囲の配慮がありがたかったと話す。「一切、外に漏れなかったんです。こういうことってたいてい広まるものだけど……」というから、このSNS時代に驚きである。