美智子さまの想い
上皇后美智子さまは'07年10月20日、誕生日に際して宮内記者会の質問に対する文書回答の中で次のように答えている。
《私自身の育児体験をふり返り、孫たちの成長ぶりに感想やアドバイスを、との質問ですが、もうずい分以前のことですので……。ただ、祖母として幼い者と接する喜びには、親として味わったものとも違う特別のものがあること、また、これは親としても経験したことですが、今、また祖母という新しい立場から、幼い者同士が遊んだり世話しあったりする姿を見つめる喜びにも、格別なものがあるということは申せると思います。
愛子は、眞子や佳子と遊ぶ時、大層楽しそうですし、眞子と佳子も、愛子を大切に大切にしながらも、大人とは異なる、子ども同士でのみ交せる親しさをこめて相手をしています》
'22年3月17日、愛子さまが成年皇族となって初めての記者会見が行われた。この中で、愛子さまは皇室の役割について、
「上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、『皇室は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽をともにしながら務めを果たす』ということが基本であり、もっとも大切にすべき精神であると私は認識しております」と、語った。また、
「一つひとつのお務めを大切にしながら少しでも両陛下や、ほかの皇族方のお力になれますよう、私のできる限り精いっぱい努めさせていただきたいと考えております」
と、抱負を述べた。
'22年11月5日、愛子さまと佳子さまは一緒に宮内庁楽部で開催された秋季雅楽演奏会を鑑賞したように、今でも2人は姉と妹のような親しい間柄なのだろう。この連載で指摘したが、皇位継承者を「男系男子」に限るとする皇室典範を見直し、女性・女系天皇を認める皇室典範改正の動きが悠仁さまの誕生で止まったという経緯があるが、今でも国会などで、女性皇族が結婚後も、皇室にとどまれるようにする動きが活発化している。
このように、未婚の内親王である佳子さまと愛子さまの立場は、近年、とみに不安定となっている。頼りになる人生の先輩としての佳子さまの存在は、愛子さまの中でますます、大きくなっていくのかもしれない。
<文/江森敬治>