ぜひ活用したい法定相続情報証明制度

相続財産の種類が多い場合にぜひ活用してほしい」と明石さんがおすすめするのが、2017年に新設された法定相続情報証明制度だ。

「銀行口座の解約や不動産の名義変更などの手続きには、故人の出生時から死亡時までの連続したすべての戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本を合わせた“戸籍謄本の束”が必要になります。

 新しく作られた『法定相続情報証明制度』は、何枚もの“戸籍謄本の束”を、法務局が“法定相続情報一覧図の写し”と呼ばれる証明書1枚で相続人を証明してくれる制度です。

 図の作成は申出人が行う必要がありますが、証明書の交付は無料なので、数枚取得しておけば、何回も戸籍謄本を取得せずに済みます」

 戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本1通を取り寄せるのにかかる費用は750円。この制度を活用すれば、“戸籍謄本の束”1セットの費用で手続きを進めることができるのだから活用しない手はない。

 相続関連の手続きに最も労力がかかるのであれば、それ以外の手続きにかかる手間は、できるだけ省きたいところ。

葬儀費用の補助として支給される葬祭費の申請は2年以内、遺族に支給される遺族年金の請求は5年以内と、“もらえるお金”の時効はまちまち。

 “あとで”とか“すぐに”手続きを進めようとすると、何度も窓口に足を運ぶことになり、時間も労力もかかってしまいます。できるだけ、“1回で”“ついでに”手続きを済ませるのがおすすめです」

 役場に出向く手間をできるだけ省くためには、葬祭費の領収書が届いたら、葬祭費の申請と同時に、保険証を返却すればいいというのが明石さんの考えだ。

 ついでに高額療養費の払い戻しの確認のほか、介護保険の窓口で保険証の返却や還付金などの確認まで済ませれば、“一石五鳥”に。