「食べ物で摂取した糖質は肝臓か、筋肉の中にグリコーゲンとして貯蔵されます。しかし40代以降は筋肉量が減少するので貯める場所が減り、あふれた分は肝臓で脂肪になってしまうんです。だから以前と同じ量しか食べていなくても、脂肪が蓄積しやすくなるんですよ」
肝硬変や肝臓がんに進行する可能性のある脂肪肝。早期発見したいところだが、自覚症状はまったくないという。判断するには超音波検査やCT検査、MRI検査を行うが、簡易的にわかる方法もある。
「健康診断の血液検査の結果を見てください。肝細胞のダメージ度合いを表すASTとALTの数値のどちらも正常範囲内であっても、ALTの数値が高ければ、ほぼ脂肪肝といえるでしょう」
まずは甘い飲み物をやめることが大切
「肝心なのは、脂肪肝や脂肪肝炎のうちに減量して、肝臓の数値を整えること。特別な薬はないので“食事で肝臓の脂肪を落とすこと”が基本」
尾形先生は生体肝移植のドナーのために、脂肪肝を短期間で改善する食事法を長年、科学的に研究してきた。スマート外来では患者の8割以上を3か月で5kg減量させ、脂肪肝改善に導くメソッドを確立している。
「一番重要なのは、継続的に体重を落として健康を維持し続けること。そのために頑張らなくて済む方法を患者さんと一緒に考えています。
なによりもまず、甘い飲み物をやめましょう。食べ物よりも飲み物のほうがより肝臓に障害を与えることがわかっているんですよ」
今回は尾形先生の患者・中川由美さん(仮名)の例をもとに、食事法で減量し、脂肪肝を改善する方法をご紹介。