祖母が営んでいた一杯飲み屋が原点

 今回の取材場所となったバーの登場回もあるという。

「ゴールデン街の店って入りにくいけど、マスターがある雨の日にきっかけをくれて。

 僕、飲み屋を舞台にした話をよく書いちゃうんです。子どものころ、祖母が、静岡県の沼津で一杯飲み屋をやっていて。国鉄のおじさんたちが夕方から飲みに来るような。そういう場所が昔から近くにあったから、そこで物語が生まれることを知ってるんです

燃え殻さん「僕がよく行くのが飲み屋と中華屋なので、この連載でも出てくる確率が高い場所になるかもしれませんね」 取材協力/出窓BayWindow
燃え殻さん「僕がよく行くのが飲み屋と中華屋なので、この連載でも出てくる確率が高い場所になるかもしれませんね」 取材協力/出窓BayWindow
【写真】人気作家燃え殻さんがインタビューで見せた素の表情

 料理や酒をともに囲んだ人のこと、くすっと笑える日々のやるせない出来事など、過去の断片を拾い集めた記憶の数々を届けたいと意気込む。

読んで何かを食べたくなるエッセイとか、一流の食事ではなく、何気ないメシ、何気ない人のことを、物語性を持って書けることが、重要な気がしています

燃え殻(もえがら)●作家。1973年横浜市生まれ。都内のテレビ美術制作会社で企画デザインを担当。2017年、ウェブサイト「cakes」での連載をまとめた『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。同作はネットフリックスで映画化され、以降も『あなたに聴かせたい歌があるんだ』『すべて忘れてしまうから』がドラマ化。
燃え殻さんがナビゲーターを務める番組で本連載を朗読するコラボ企画を実施予定!
『BEFORE DAWN』J-WAVE(81.3FM)毎週火曜日 26:00〜27:00放送
公式サイトhttps://www.j-wave.co.jp/original/beforedawn/

取材・文/兵庫慎司