両陛下が出席をやめない理由
それでも両陛下が出席をやめない理由について、『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務めるつげのり子さんはこう分析する。
「植樹祭は、国民が自然に親しむことを狙いとしています。両陛下が式典に出席されることで注目が集まり、多くの人が自然の大切さを知る機会となるでしょう。ですから、緑化が済んだからもうやらなくてもいい、という価値観の行事ではないのです」
さらに“国民と苦楽を共にする”ことを基本姿勢とされる両陛下にとって、植樹祭は欠かせない行事だと語る。
「両陛下は、国内外のいろいろな場所へ赴き、人々と直接交流することを大切になさっています。そんな両陛下にとって、植樹祭を含む四大行幸啓は特別な機会といえるでしょう。というのも、四大行幸啓はすべて、全国の都道府県の持ち回りで行われており、毎年開催地が変わります。両陛下は、これらの式典に出席するために全国へ赴き、その足で周辺を訪ね、人々と交流することを慣例としておられるのです」(つげさん)
両陛下のご結婚30周年に際して公開された文書でも、おふたりは国民に寄り添う意思を明示されている。
《これからも各地に足を運び、(中略)多くの人々と出会って話を聞き、時には言葉にならない心の声に耳を傾けながら、困難な状況に置かれた人々を始め、様々な状況にある人たちに心を寄せていきたいと思います》
そのお言葉のとおり、今回の植樹祭でも、西日本豪雨で被害に遭った人々や、現地の子どもたちと交流された。
植樹祭に先立って、両陛下に演奏を披露した岡山市ジュニアオーケストラの運営を務める難波正章さん(63)はこう振り返る。
「雅子さまからは“素晴らしい演奏でした”とのお言葉をいただきました。おふたりの柔らかい雰囲気に、私も子どもたちも、自然と会話に引き込まれていったような気がいたします」
これからも雅子さまは“会いたい人”のため、全国を行脚されることだろう。