原材料の高騰による閉店は「聞いたことがない」
また、前出の記事では鶏肉とキャノーラ油の値上がりが打撃だったとされている。
「唐揚げ店が原材料の高騰で潰れるという話は聞いたことがない。これは真っ向から否定したくて。潰れている理由でいちばん多いのは、集客ができなかった、スタッフが集まらなかったというものです。
実際に潰れたところを複数件知っていますが、人手不足のためです。店主が動けなくなったけど引き継ぎがいない、スタッフがいないなど。バイトを募集しても来ない。人の問題、もしくはおいしい唐揚げを作れないという味の問題。材料費が上がって値上げしても、ちゃんとお客さんについてきてもらえるかだと思います。苦渋の決断で値上げは皆さんされている」
記事にはまだ不信感があるという。帝国データバンク発表によれば、倒産が“急増”したという'23年の27件に対し、'20年〜'22年の倒産件数はいずれもひと桁。
「その期間ははっきり言ってもっと潰れていると思います」
これはコロナ禍の巣ごもり需要などもあり、唐揚げ店が爆発的に増えた期間だ。
「嘘と言うのもあれなんですが……この期間が2件や3件のわけがなくて。知っているだけで潰れた会社はそれ以上あります。今回の記事で“9倍”が言いたいためなのか」
協会が考える唐揚げ店の現在、そして未来は──。
「ミーハーな店舗が一掃され、実力のある店舗が残る時代になってきたと考えます。メディアはブームがどうのと言いたいと思いますが、唐揚げは定番としてより定着していく方向だと思います。
商売として地域に根づく、そのために期間限定の商品や味の工夫が必要で、それがないと淘汰されてしまう難しさはある。ただ、それはラーメン店でも何でも同じだと思います」