寄稿から伝わる「負けん気」

 その有無を考える手がかりになりそうなのが、彼が2年前に書いた文章。ドラマ化もされた『拾われた男』(松尾諭)の文庫版に、松尾の友人として寄稿したものだ。

 高橋は単行本の時点で献呈されていた友人の自伝を、まだ読んでいなかったと告白。その理由のひとつとして、こんなことを記している。

《文春文庫さんの秋のキャンペーンだかなんだかで帯をやらせていただいているにも関わらず、同じ時期に週刊文春さんが、高橋一生は落ち目の俳優であるとの記事を書くという、週刊誌さんの僕に対するイメージ操作がとても残念な感じだったので、こちらの出版社関連のものは敬遠していて》

 ある意味、文春にケンカを売るような文章だが、この寄稿を承諾したことでバランスをとったともいえる。

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 また、松尾についても、深夜に泊まりに来たあげく《いびきのうるささ》に《一睡も出来ないまま》《舞台の初日》を迎えさせられたというエピソードを途中で紹介。それでいて、最後の一文で、

《予想外なことに、初日のお芝居すこぶる調子良かったし》

 とオチをつけ、バランスをとっている。こういう人なら、とかく難しい家庭の舵取りもうまくやっていくのではないか。

 それにしても、この寄稿から伝わってくる負けん気や、こだわりの強さはあの「岸辺露伴」とも重なるものだ。当たり役になったのもうなずけるが、家でもあの感じだと、飯豊も気疲れしそうで心配になる。

 いや、それこそ、大きなお世話だろうけど。美男美女の結婚は、嫉妬やひやかしを引き受けるのも宿命なのだ。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。