クラシック音楽のプロデュース業を開始

 大学院を卒業後、非常勤講師に就任。研究領域に自身の体験を重ねたメディア論を教えている。なかなかの人気教授のようだ。

「最初は本当に手探りでした。ただ学生から“今までの講義で一番面白かったです”と言ってもらうようなこともあって。彼らの声に励まされ、何とかやってきた感じです」

 4年前からクラシック音楽のプロデュース業をスタート。『霞町音楽堂夏Fes.』、略して『おんなつ』を開催。

「2020年コロナ禍。私が相談役をやっている『霞町音楽堂』でも音楽家が発表の場を失いました。音楽を止めない!それだけの意気込みで古巣の日テレにちなんで、24時間クラシック史上初24時間音楽配信を開催しました。ところが、これは大赤字になって、24時間配信はもうやめてくれと言われました(笑)」

 今年は7月にサントリーホールで『おんなつ』を開催。大学院での指導と『おんなつ』のプロデュース業は現在の活動の二本柱だと話す。

「テレビ出演の再開も、『音夏』の認知が大きな理由としてありました。『おんなつ』では若手音楽家の応援もしています。大学もそうですが後進の応援をする年になってきたのだと思います」

 還暦を迎えるまであと1年余り。テレビ復帰も果たし、第二の人生の展望はというと?

「まずは永井美奈子を取り戻さなきゃと考えていて……」

 主婦として生きた20年を経て新たな一歩を目指すと語る。

「ずっと家族優先で生きてきました。夕飯一つにしても、夫が何を食べたいか、子どもが好きだから、とずっと考え続けた20年でした。だから、あなたは何が食べたいのと聞かれても決められないんです。それってすごく怖いなと思う。気づけば子どもは巣立ち、空っぽの自分になっちゃう。

 今は自分を少しずつ取り戻していこうとしているところ。大きな計画はないけれど、もう少し自分を可愛がってあげたい。とりあえず本来の永井美奈子に戻ったら、その先を考えようと思っています」

局アナ時代は元祖アイドルアナウンサーと呼ばれ、寝る暇もないほど忙しかった。写真はフリーアナウンサーとして独立したころ
局アナ時代は元祖アイドルアナウンサーと呼ばれ、寝る暇もないほど忙しかった。写真はフリーアナウンサーとして独立したころ
【写真】元祖アイドルアナウンサー!局アナ時代の永井美奈子さん
永井美奈子(ながい・みなこ)●1965年生まれ。'88年日本テレビ入社。元祖“アイドルアナ”として人気を博す。結婚・出産でテレビから離れていたが、'22年に本格復帰。現在は成城大学非常勤講師、日テレ学院講師としても活躍。