陛下を支える美智子さま

 さらに、ビジターセンター前で奉迎に加わったという別の女性は、印象に残ったことがあるようで、

「入館の際、おふたりは施設前の階段を上るときに、手を取り合っておられました。陛下が転ばれないよう、美智子さまがしっかりとお支えになっているように見えました。

 また、お帰りの際、美智子さまは車の窓を開け、マスクをわざわざ下げ、笑顔で手をふってくださいました。その際、美智子さまのほうが感激されたようなご様子だったことがとても印象に残っています。

 たくさんの人が集まって、“お気をつけて”や“お元気で”などと声をかけていたので、歓迎ムードに驚かれたのかもしれませんね」

 現地の歓迎ムードの一方で、心無い声もネット上では散見された。

「今回の旅行を巡って、SNS上では“税金の無駄遣い”“いくら思い出の場所でも何度も行く必要はない”といった書き込みが多数見られました。最近は、上皇ご夫妻が旅行やご静養でお住まいを離れるたび、そうした声が上がっています」(前出・皇室ジャーナリスト、以下同)

 誹謗中傷のようなネット上のコメントを重く受け止められたのか、おふたりはある気遣いをされていて、

ご夫妻は日光への往復に、東武特急『スペーシアX』を利用されました。スペーシアXは6種類の座席があり、通常座席だけでなく、個室やソファ席が備わっています。さらに、プライベートジェットをイメージしてデザインされた“走るスイートルーム”をコンセプトにした車両があるなど、贅沢な空間を売りにしています。

 しかし、ご夫妻が利用したのは、往復共に6種の座席の中で最も価格の安い、スタンダードシート。国民感情を考えると、私的旅行といえど贅沢はせず、あえて質素な車両を望まれたのでしょう。車窓からは、奉迎の人々に対して、にこやかに手をふられるなど、どこにいても、おふたりの配慮が見受けられました」

 念願叶った旅行中でも、おふたりが国民への気遣いを忘れることはない─。

つげ のり子 愛子さまご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の『皇室の窓』で構成を担当。著書に『素顔の美智子さま』など