目次
Page 1
ー 「人ってそういうものじゃないか」
Page 2
ー 憧れを感じていた“自然”や“地方”
Page 3
ー テンションを上げてくれる音楽

運命的な出会いは、最近ないですね。質問の答えとは違うかもしれませんが、身体にいいモノが食べたいなと思っていたときに、バラエティー番組のロケで行かせていただいたホテルが薬膳料理や和食の凝った料理を出してくださったんです。運命を感じたというか、ラッキーだなと思いました(笑)

「人ってそういうものじゃないか」

 最近、運命の出会いがあったかを聞くと、こう答えてくれた杉野遥亮(すぎの ようすけ・28)。映画風の奏の君へ』で杉野は、ピアニストの里香にひと目ぼれする浪人生の渓哉を演じている。

 ある日里香が、家業の茶葉屋を継ぐ兄・淳也の大学時代の恋人だったことを知る渓哉。リサイタル中に倒れた里香に自分が祖母と兄と住む家でしばらく療養しないかと提案する。

 兄に未練が残る里香と、里香に冷たく接する淳也。ふたりに対して言葉にできない思いを抱える渓哉の3人がともに生活することになる。

渓哉は、自分の進路や居場所を探している人。茶葉に興味があるけれど、家業を継ぐために故郷に帰ってきた兄に素直に伝えることができない。その状況で兄から“自分の好きなことをしろ”と言われても、渓哉としては“兄貴(淳也)こそ、好きなことしろよ!逃げるなよ”と思ってしまう。

 渓哉が里香に会ってドキッとしたのは事実ですが、その後の思いは恋愛感情というより憧れに近いものだったんじゃないかなと思います。兄の元恋人ということで、より心が動いたというか。

 渓哉は、兄と対峙(たいじ)することで探している自分自身の答えを見つけることができると思っているように僕は感じました

杉野遥亮 撮影/吉岡竜紀 ヘアメイク/亀田雅 スタイリスト/伊藤省吾
杉野遥亮 撮影/吉岡竜紀 ヘアメイク/亀田雅 スタイリスト/伊藤省吾

 両親を亡くし、兄と祖母と暮らす渓哉。彼にとって兄は親代わりでもある特別な存在。

こういう家族に対しての悩みは、年齢関係なく、多くの人が抱えていることだと思います。渓哉が里香に一緒に住むことを提案するのは、(兄と復縁する可能性もあり)矛盾している行動のようにも見えますが、人ってそういうものじゃないかと思います。

 渓哉は、ただ自分に正直に生きているだけ。とても人間らしく感じます