朝ドラ史上最低のクズ親父に多くの票が
2位に入ったのは名作『おしん』('83年)の谷村作造(伊東四朗)だ。
「貧しさゆえとはいえ、娘を売り飛ばすのは許せない」(愛媛県・54歳)、「伊東四朗の迫真の演技が子ども心に恐ろしく、こんな父親は嫌だと思った」(東京都・50歳)と寒村の極貧小作農をリアルに演じた伊東の芝居に圧倒され、強烈な父親像が刻まれているようだ。
「まさに明治の父親で、家でもニコリともしない。奉公先から逃げてきたおしんが脱走兵と一緒だったと知るや、気絶するまで殴り飛ばす。今では考えられない暴力シーンは強烈な印象がありました。これは1位の作品もそうですけど、娘を売り飛ばす父親はがっかり度が高い(笑)。
伊東さんの演技がまた素晴らしいから、子役の小林綾子さんの健気さを際立たせ、結果、より父親がひどく見える。そういう意味では、きちんと朝ドラ父の役割を果たしていたと思います」(カトリーヌさん)
堂々の100票超えで断トツの1位に輝いたのは『おちょやん』('20年)の竹井テルヲ(トータス松本)だ。
「娘を捨てたくせに、その娘に金をたかる。朝ドラ史上最低のクズ父でした」(大阪府・58歳)、「借金をつくり、女をつくり、育児放棄のうえ娘を売り飛ばす。娘を食い物にする飲んだくれ」(広島県・41歳)などなど、まさに「どれだけ子どもに迷惑をかければ気が済むのか」(東京都・62歳)というクズ親父だった。
「朝ドラ史上最低とコメントされていますけど、その座は未来永劫動きそうにない(笑)。娘を売り飛ばし、奉公先にも女優になっても追いかけて金を無心し、通帳を盗む。逃げても逃げても追いかけてくるゾンビみたいなクズ親父でした。
脚本の八津弘幸さんは『半沢直樹』や『下町ロケット』など日曜劇場御用達の作家さんで、悪人らしい悪人を描くのがうまい。結局改心することもなく、血ヘドにまみれて牢屋で死ぬ。毒親として描き切っていて、だからこそのこの票数。トータス松本さんが演じることで愛嬌が加わり、それが救いになってました」(カトリーヌさん)