当時はお金を使う暇もないほど激務だったため、その後漫画家デビューをするころには、すでに同年代の人たちよりも、収入も多少の蓄えもあったという。

親のすねをかじっていたのはDAIGOの方

「勘違いしている人も多いのですが、私は実家のお金をあてにしたことは一度もないんです。実際、私の書いたものに対して『ハイソすぎて参考にならない』と辛めの批評をもらったり、夫にも『世間の金銭感覚とは少しズレてるかも』と言われたりもしますが、それは私の出自の問題ではなく、私が自分で築き上げてきた生活スタイルで金銭感覚がズレているだけ。30歳まで親と私のすねをかじっていたのは、DAIGOなんです!(笑)」

 自身に蓄えがあれば、結婚相手をじっくり選ぶこともできる、と影木さんは語る。

妊娠・出産を目指す場合は年齢的なリミットや相手の収入などに条件があります。でも、私のように子どもを持たず、ある程度の生活基盤を持ってからパートナーを探し始めた人は、相手選びに時間がかけられるのがメリットでもありますね

 紆余曲折を経てつかみ取った50婚。

「婚活していることを至るところでアピールしていた結果、行きつけのマッサージ師さんにいい人がいると紹介された」

 というのが、現在の夫だ。1歳年上のマッサージ師とのことだが、結婚後、彼女のなかで起きた変化とは?

私は高齢の両親をサポートするため実家に住んでいて、夫とはいまだ“別居婚”なので、それぞれの生活に大きな変化はありません。ただ、近所に住んでいるので、体調が優れないときにサポートし合えたり、気兼ねなくお茶に誘えたりできる相手がいる安心感はありますね。夫は私の家族から“菩薩”と呼ばれるほど優しい人なので、一緒に過ごせる穏やかな時間が大好きです。婚活に5年の期間をかけて、夫と出会えた今は『私の結婚適齢期は50歳だ』と胸を張って言えますね

 取材中「ギャンブルで大負けしたことはない」と話していた影木さん。“結婚”という人生のギャンブルも勝ち確定?

影木栄貴(えいき・えいき) 1971年生まれ、東京都出身。漫画家。1996年に『運命にKISS』でデビュー。以降、少女漫画、BL漫画、百合漫画などで活躍中。原作・原案も多く手がける。竹下登元総理大臣の孫、タレントで歌手のDAIGOの実姉としても知られる。


取材・文/大貫未来