Q3.今年の7月24日と8月5日は土用の丑の日。あちこちで良い匂いが漂い、スーパーやコンビニにもウナギが並ぶ。決して安くはないが、中国産より日本産のほうが上等なの?

「ウナギといえば国産品が高く売られますが、国産が良くて中国産が悪いということはありません。そのときのウナギの質によって変わる。あえて中国産を使う老舗店もあるくらいですよ。

 実はウナギは土用の丑のころは旬じゃない。“丑の日に食べるウナギがウマイ!”なんて言ってる食通さんはニセモノですね。本当にグルメなら丑の日には行きません。ウナギの旬は1月〜2月。

 おいしくないから、ハクをつけて高く売る。いわばジューンブライドみたいなものです(笑)。値段もわざと上げている。とはいえ、丑の日の売り上げは通常月の2倍もいきません。そもそもウナギは原価率が高い。飲食店の原価は3割ぐらいですが、ウナギは4割から5割と利益も大きくありません。

 僕が思うウナギ屋さんの不思議なところは、丑の日も昼休憩を取るところ。昔からのいろんな習慣や縛りがある業界ですね~。今年もウナギが不漁ですから、丑の日のウナギは高くなりそうです」

Q4.お客さんは1人くらいしか来ない、場末のスナック。若くも美しくもないママが、けだるそうに迎えてくれるスナックが、駅前のキャバクラやガールズバーにも負けず営業できるのはなぜ?

「規模から見ると、スナックはキャバクラや居酒屋に比べて小規模で省スペース。立地も、駅前の繁華街にあるキャバクラやガールズバーに対して、少し離れた場所にあることが多いですよね。このような違いが、スナックの開店コストや家賃などの運営コストを安く抑えています。

 そして注目すべきは接客スタイル。一対一で接客するキャバクラでは、若くてきれいな女性を何人も雇わなければいけません。これが人件費を押し上げます。一方、スナックではカウンター越しに会話する一人対複数人(お客さん)の接客スタイルを取っている。これで人件費を安く抑えられる。

 提供するメニューの数も居酒屋のように多くなく、コストが安い。結果的に、お客さんのお財布にも優しい価格となります。固定費から運営費までを安く抑えたスナックだからこそ、ふらっと気軽に立ち寄る場所として、細く長く、いわばサステナブルな経営が可能になるのです」

うら寂しいスナックをあえて好む人も多い
うら寂しいスナックをあえて好む人も多い