Q5.通常1斤200円程度なのに、2斤分で1000円ぐらいで売られていた高級食パン。あんなに流行っていたのに、現在は全国で閉店ラッシュ! みんな飽きちゃったの?
「ブームの火つけ役ともいわれた『乃が美』はピーク時、全国47都道府県すべてに出店しました。2019年以降は売り上げが減少。どんどん店舗を減らしていっています。でも実は都心の店舗ではまだ売れているんです。地方の店舗の売り上げが落ちただけ。
やはり単価の高い物は地方では売りづらい。価格がネックになっています。全国に高級食パンの店ができたことで、商品の特性である“非日常性”“高級感”が失われました。平たく言うと、どこにでもあるので飽きられてしまったのです。
さらに店舗数が減ることでマイナスイメージも加速し、売り上げが落ちる。ルイ・ヴィトンの店舗が全国にいくつあるか知っていますか?
僕はもっとあると思っていましたが50店舗です。その店舗のほとんどが都市圏に集中。“ルイ・ヴィトンの店がない県”が圧倒的に多いんです。所得の高い層の住むエリアに出店し、ブランドイメージを維持する戦略を取っている。
高級食パンのメーカーもそういう戦略を取るべきでした。戦略ミスが今回の高級食パンブームの急速な終焉を招いたといえます」
Q6.観光地の土産物店に行くと、つい買ってしまうご当地グッズや記念品。旅から帰って冷静になると、なぜこんなものを買ってしまったのか反省……。旅行先で無駄に散財してしまうのはなぜ?
「皆さん、旅先では気が大きくなりがちですよね。これを説明するのが、『メンタル・アカウンティング』という言葉です。直訳すると、『心の会計』。お金を使うことやお金そのものの価値観が、置かれている場所や状況によって変わることを意味しています。
わかりやすく言うと、消費者の財布のひもは、特別感のある状況で緩くなるということ。旅行先だけではなく、結婚式などのお祝いの場も、ケチることが無粋とされているため、太っ腹な心理となり、財布のひもが緩みます。
また、旅行は時間が限定されているため、『今、楽しまないと損』という焦りも加わって、さらに散財してしまうのです。逆に、日常の買い物では財布のひもを締めますよね。普段、特売品の牛乳を買うために隣の駅のスーパーまで行く節約主婦でも、旅行先では不要なキーホルダーを何個も買ってしまうのはそのためです」
大人気・菅原先生の本
『タピオカ屋はどこへいったのか?商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA/1650円)
ビジネス成功のヒント満載!ビジネスに関心がなくても街の不思議が読み解けて楽しい一冊
取材・文/ガンガーラ田津美