苦難を乗り越え、見え始めた覚悟の真実

 2005年にチャールズ皇太子と再婚した後も、カミラ夫人に対する批判は消えることはなかった。しかし、一切の反論をせず、寡黙にチャールズ皇太子を、そして英国を支え続けた。

 2020年3月27日、コロナ禍において、自宅から出ることが出来ない女性たちを家庭内暴力から守るべきというメッセージをカミラ夫人は自身の公式インスタグラムアカウント「Clarence house」から発信した。ロックダウン下で見過ごされていた社会的弱者である女性たちの危機にいち早く気づき、警鐘を鳴らしたことで、それまでカミラ夫人に懐疑心、嫌悪感を抱いていた女性層からの支持を大きく得た

 国内外のさまざまな慈善活動にも力を入れており、特に、動物保護や教育分野への尽力は顕著だ。メーガン妃ヘンリー王子のように営利目的のお涙頂戴のアピールを行うことはしないため、決して目立つものではないが、確実に成果を上げている。

 こうしたカミラ夫人の姿勢が生前のエリザベス女王の心を動かした。

 2005年にチャールズ皇太子とカミラ夫人が再婚した当時は、将来「チャールズ国王」が誕生してもカミラ夫人に「王妃」の称号は与えられないことが条件として突き付けられたと言われている。

2024年、イギリスを訪問しチャールズ国王とカミラ王妃の主催する晩さん会に出席された天皇皇后両陛下(英王室の公式インスタグラムより)
2024年、イギリスを訪問しチャールズ国王とカミラ王妃の主催する晩さん会に出席された天皇皇后両陛下(英王室の公式インスタグラムより)
【写真】2008年にチャールズ国王と共に来日されたカミラ王妃

 エリザベス女王は、2022年2月6日に発表した即位70周年を記念するプラチナジュビリーのメッセージの中で以下のように国民に語り掛けた。

「時が満ちて、私の息子チャールズが国王になったとき、あなた方は私と同じ支援を彼と妻のカミラに与えてくれると確信しています。そのときが来たとき、カミラが忠実に奉仕を続けながら『王妃』と認められることを私は心から願っています」

 と、自分の死後、チャールズ皇太子が国王となった際にカミラ夫人が王妃となることを望むと国民に伝えたのだ。

 このとき未来の「カミラ王妃」誕生に対し、イギリス国民の55%が賛成の意を示し、反対意見はわずか28%であった。こうして、2022年9月8日にエリザベス女王が死去、チャールズ国王が即位、カミラ夫人は正式にカミラ王妃となった。

 2024年2月5日、チャールズ国王が癌と発表されて以降、6月27日現在までに、カミラ王妃が行った公務は明らかにされているだけでも60回を超え、うち単独公務は36回に上る(一部統計による)。こうしたカミラ王妃の奮闘に「イギリス王妃としての覚悟が見える」と評価は高まり続けている。