曲作りのポイント

 高見沢の曲作りのポイントはどこにあるのだろう。

高見沢「一番に考えるのは、3人の個性ですね。ビートルズっぽい曲だったら坂崎でやったら面白いなとか。桜井はこのキーまでは出るなとか熟知してますので、『ディスタンス』の次のバージョンみたいなものとか、そういうふうに考えていくと、なんとなくできあがっていきますね」

 そして、最近では詞先(曲ではなく歌詞から先に作ること)が多いという。

高見沢「最近小説を書くようになってから、詞が早く書けるようになったんです」

桜井「どうせまだできてこないだろうって思ってたら“できました”って。すげえ早いからびっくり」

高見沢「そこが今までと違う感じかな。40周年超えてから、言葉、伝えたいもの、小説と音楽はまったく違う脳で書くんだけど、そこがうまくキャッチボールできている感じ。やはりパンデミックのせいで、使命感ががぜん湧き上がってきたんです。バスケやっていましたから、基本、体育会系で根性一発で創作に打ち込んでいましたよ」

 YouTubeなどでアルフィーのライブ映像や、坂崎が以前出演していた番組で吉田拓郎とKinKi Kidsとのやりとりなどの映像が数多く視聴されている。中には何百万回を超える再生回数の動画もある。

坂崎「あれは僕らじゃなくてみんな勝手に上げたものなんです」
“非公式”ながらも、彼らの魅力を世間に広げているようだ。パンデミックのおかげで新たに誕生したものもある。それが『Come on! ALFEE!!』というタイトルの配信企画だった。

坂崎「2年間で、シーズン7までやりましたね。あれは深夜放送が動画になっている感じ。フリートークがね。かなり好評でしたが昨年で終わりました」

 さあ、今年もコンサートツアーの真っただ中。

桜井「調子が悪いときなんかもあるんだけど、なぜかステージに立つと不思議と痛みとか消えるんですよね。アドレナリンが出ているのかな?」

高見沢「だから無観客ライブをやってるときは苦しかったですね。ギターが重く感じたりとか。僕の持っているギターは、結構変なギターが多いんで(笑)。それが通常モードに戻ったら、そんなこともなくなりましたからね」

桜井「コロナが落ち着いてからのファンの人たちのパワーがすごいよね」

高見沢「すごいよね」

桜井「最初はマスクで無言、手拍子だけ。それがだんだん声は出していい、マスクも要らなくなった。その段階をずっと見てきたんですよ。するとどんどんすごいことになって」

高見沢「ツアーの全公演がソールドアウトになってるし。それはコロナ前よりも、熱いし激しいですね。その情熱が本当にうれしいですね」

坂崎「コロナでコンサートに行くことが億劫になった人が多いらしいけど、僕らはその影響はなかったね」

高見沢「以前の7、8割しか戻ってこないという話も聞いたし。コロナ禍でみなさんの生活習慣が大きく変わってしまったんでしょうね」

桜井「ごはんもそうだよね、コロナが明けても外で食べる習慣が戻ってこない」

坂崎「それがアルフィーの場合は、逆に以前よりも熱い感じがするんですね」

 彼らは、レコードの時代、CDの時代、そしてサブスクの時代と音楽を作り続けてきた。その変化にはどう対応してきたのか。

高見沢「スマホで聴いている方が多い環境ですからね。レコードからCD、そしてダウンロードですから。確認する作業が違ってきてますね、最終的にスマホで聴いてみたりとか。“あ、この歌詞が聴こえづらいな”と音量を上げたりとかしますね。

 逆にそういうふうにスマホのような小さいもので聴かれれば聴かれるほど、ライブの音が結構、壮大じゃないですか。その差を感じてもらえれば。僕ら基本的にライブステージがメインなんで。パフォーマンスがね。こんな小さなデバイスで聴いた『ディスタンス』と広い会場で聴く『ディスタンス』とは、また違うと思うんですね。その差を楽しんでもらえるんじゃないかな。だから僕らにとってもいいことだと思います」

 現在、THE ALFEEのファンは3世代にわたるという。

高見沢「やっぱり長くやってるからだと思います。それは自分たちのやりがいにもつながる。コンサートに初めて来た人でも、感想が“面白かった”というのがうれしいですよね」

桜井「それが一番じゃないですか? 若い世代が親とかの影響ではなく、自主的にアルフィーの“沼”に入るきっかけは、YouTubeだったりするんです。だから、“面白い人たち”から入って、音楽聴いたらカッコよかった、という子が多いですね。DVDパンフレットに収録のALFEE KITCHENという、メンバーが料理する動画がYouTubeに上がっていたみたいで、それを見ていた子が、僕らのステージを見て“この人たち歌も歌うんだ”みたいな(笑)」